ユンギさんがデレデレだったら。

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「他の男に寄るなよ。何か言われてもついていくなよ。家で大人しく待ってろよ。分かった？」


『…分かった』


「じゃあな。俺、このままバイト向かうわ。気をつけて帰って。」


『うん。バイト頑張ってね。』




去っていくユンギの背中を見るのが辛い。


結局今日。このクリスマス当日まで私は何も出来なかった。
ユンギの思うがままになって、掌で転がされている気分。




ナユン。空いてたりしないの?


NYごめんなさい。私にも一緒に過ごす相手は居るので。


酷い後輩だ…




今になっても、家に一人でいるのが怖いのは変わらない。
そりゃあ前より少しは克服したかもしれないけど、誰もいない家に帰るのは寂しいし、私一人だけが観るテレビは、内容なんて耳に入って来ない


だから今日はね。
誰かと一緒に居たい。一人になりたくない。






「Aちゃん〜、クリスマスパーティー行かない？」


両耳に計8個のシルバーピアスを付けた、学年でも一目置かれる存在の男子。
今までにも何回か誘われたことはあって、だけどその度に断って来た。


でも今日は違う。
ただただ私は一人になりたくないだけ。
ユンギを少し忘れたい。苦しみから開放されたい。


『行きます』




「まじ？！


おい！Aちゃん行くって！」




周りの男子たちがざわめいて、視線は私に集まる。
男の人は得意では無いし、複数人に同じ目線を向けられるのも好きじゃない。




『どこ行きます？』




「やっぱりカラオケっしょ！」


「定番のな笑」




周りに女子は居なくて、今にも逃げ出したいと思う状況でも尚、私自身を変えてみたいなんて薄っぺらい覚悟の方が勝っている。






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