ツンデレさんと過ごす夜

- ページ37

.




『ごちそうさまでしたー！』

「食欲キモい」

『だからそれただの悪口』


結局あの後、キムチチゲを一口くれた優しいユンギ。
好きな人と間接キスが出来た今日は一生の記念日だ。


「帰るぞ」

『はーい』


お会計を済ませ、外に出るとユンギは時計を見て焦り出した。

「やべ。」


『え？どした？』


「4時半だ」


『まだ間に合うじゃん？』


「お前家に送ったらギリなんだよあほ」


『え、いいよ、1人で帰れるんだけど』


「それは俺が嫌なの」


『うそ…私と少しでも一緒に居たいの？』


「んなわけねぇだろキモ女」


『急に抵抗してこないでよ心臓に悪い』


「とにかく早く帰るぞ」


脚が長いユンギの一歩は私よりずっと大きかった。


『ユンギ早過ぎ！』

「っるせぇ置いてくぞ！」

『酷い！』

「お前足遅すぎ！」

『しょうがないでしょ運動音痴なの！』

「俺だって運動音痴！」

『それのどこが運動音痴よ！』

「歩くのに運動音痴もなにもないだろ！」

『食後にそんな歩けない！』

「食べ過ぎたお前のミスだろ！」

『美味しいんだから食べちゃうでしょ！』


「………」


急に歩くのを止めたユンギ。


もしかして怒った？嘘…そんな怒る？

いや、本当に歩くの遅くて悪いと思ってるけど…



『な、なに』


「ったくもう早く歩けよ…」

ぶっきらぼうに放たれた言葉と、私の腕を掴んだ男らしい手。

『うそっ…』


やばいカップルじゃん！


「お前の思ってることは大体予想がつくんだよ。そんなこと考えてないで俺に連れられてろ」

『本望です！』




私の前を歩くユンギの後ろ姿が昨日よりもっとずっとカッコいい。





.

-→←-

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す