君と俺と空と海と (ページ3)

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夕飯ページ3

自分side

キッチンの前に仁王立ちし始めて約5分。

一向に夕飯のメニューが決まらない。

『うわぁー。もう、何作ろう。そろそろ帰ってくるのに…やばいやばい。』

さっきからこのセリフを何度も繰り返している。

冷蔵庫の中はほとんどない。
本当は今日買い物に行く予定だったからだ。

『なんも作れない…。どうしよ。どうしよ。』

そう言いながらキッチンの前をうろちょろ歩き回る。

『あーあ。これなんも作れないな…ってうわぁ！？』

そう言っている途中。
ズボンのポケットに入れていたスマホが鳴る。

ﾏｻｲ「ごめん、急に電話かけて。」

彼の声がする。

ﾏｻｲ「今日の夜、みんなで食べに行かないかって話になってさ、まだ夕飯作ってないなら今からこっちおいでよ」

彼は優しそうな声でそう言う。

これはラッキー。

『ほんと！じゃ、支度して行くね』

ﾏｻｲ「あぁ。駅で待ってる。」

電車に乗り込む。

帰宅ラッシュの時間ということもあり、少し人が多い。

「次は～駅。」

アナウンスが流れ彼と待ち合わせをしている駅の入口まで行く。

『マサイくん確かここら辺にいるは…ずって、また囲まれてる』

彼の姿は多くの女性に包囲されており、身動きができなさそうだった。

『あちゃー。あれは困ったな。』

ﾏｻｲ「あ、やっと来たか」

周囲の女性に離れてもらうために分かりやすく大声をだす。
そして手を振る。

それに気がついた私の周りにいた女性が彼に手を振る。

『うーん…すごい人。マサイくんに気がついてもらえても…あそこまで行けるかなぁ…。』

そんな不安を抱きながら人混みの中に入る。

そして彼のことを包囲している女性の間を抜けようとした刹那

「マサイくん！私、ずっとあなたのことが好きです！」

応援のメッセージ。だということが分かっていても、少し心が痛む。

きっと嫉妬心。

ﾏｻｲ「ありがとう。ウオタミさんのこと好きだよ」

彼もそれに笑顔で応じる。

営業スマイル。営業スマイル。

そう自分に言い聞かせたところで何もならない。

寂しいなと思いながら入れなかった輪と彼のことを後ろから見つめた。