紅葉の森の中で6 ページ29
コウメと会えて一安心していたところ、僕はコウメに渡さないといけないものがあることに気づいた。
ﾊﾙﾀ「コウメ、この簪コウメのじゃない？」
取りだしたのはさっき拾った簪。
ｺｳﾒ「それ、私のです
妖狐になった時に、落としてしまったのかもしれませんね」
そう言いながら、簪を取るために妖狐から人間に戻ろうとする。
シューッと縮んでいく体に僕はあることを思い出した。
ﾊﾙﾀ「コウメ、服はどこにあるの？」
ｺｳﾒ「えっ、あっ！」
コウメが気づいたのもつかの間、白い肌が顕になった。
慌てて目を手で覆おうとすると、もみじの葉っぱがカーテンみたいになってコウメを隠していた。
ﾓﾐｼﾞ『これで良かったかな？』
ｺｳﾒ「はいっ、ありがとうございます」
数分後、、、
僕の頬は、もみじの木の紅葉よりも赤くなっているかもしれない。
ｺｳﾒ「もう大丈夫です！」
ﾓﾐｼﾞ『ほっほっほ、気を付けるんじゃぞ』
ｺｳﾒ「ありがとうございました」
もみじの葉のカーテンから出てきたコウメは、いつもとは違い髪をおろしていて色っぽかった。
ﾊﾙﾀ「コウメ、簪」
ｺｳﾒ「ハルタ様、ありがとうございます」
ﾊﾙﾀ「大丈夫だよ」
スルスルスルッと髪の毛を綺麗にまとめていくコウメ。
一連の動作はとても綺麗だった。
ｺｳﾒ「アドバイスありがとうございました、また今度」
ﾓﾐｼﾞ『ああ、』
ﾊﾙﾀ「ん アドバイスって何？」
ｺｳﾒ「大した事じゃないです」
ﾊﾙﾀ「え〜、教えてよっ」
ｺｳﾒ「そんなことより、、、私戻れません」
ﾊﾙﾀ「イゾウとAのこと？ もうイゾウはいいって言ってるけど」
ｺｳﾒ「A様は、、、」
ﾊﾙﾀ「寝起きが悪くて気づいてない
いや、そもそも起きてない」
ｺｳﾒ「ふふっ、A様らしいです」
ﾊﾙﾀ「だからさ、モビーに帰ろう」
ｺｳﾒ「そうですね」
私には、守らないといけないものもあるし
と呟いたコウメの瞳には決意の念が籠っていた。
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作者名：抹茶色ネココ | 作成日時：2019年10月31日 20時
