ひと夏の恋 (ページ34)

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ピカッと暗闇を割く光と共に
ごろごろごろっ！！！ピシャーン！！と大きな音が響く

サナ｢うぅ、｣

頭から毛布を被り、小さな窓から外を覗く
高くうねる波は船を揺らす

昼間降り始めた雨は夜がふけるごとに勢いをまし、嵐になった
しん、と静まりかえる船内、
皆これくらいの嵐なら慣れっこなのだろう

行き場のない私はマンマに頼み込んで食堂の端で寝泊まりさせてもらう事にはなったけど…
初めての嵐の夜…

サナ｢怖い…｣

呟いた時、
きぃ、と扉が軋む音がすると、
コツ、コツ、と食堂に誰かが入ってきた…

こんな夜中に食堂になんの用事だろう…
足音は迷いなく厨房へと向かうとゴソゴソと何かを探している

食料泥棒…？
夜中にお腹すいちゃったのかな…？
え、でも食堂が減っちゃうのはマンマが困る…！

止めようか…でもなんだか不気味…
どうしよう…

そう思っているとゴソゴソ音がやみ、
足音は扉へと向かう

……マンマ、ごめん！！
私、今日は見逃す！！

びしゃああぁぁああん！！！

サナ｢っ！！｣

ガタン！！！

｢っ！！？誰だ？｣

一際大きな雷がなり、思わず音を出してしまった…
…私見逃すって決めたのに！！

コツ、コツと足音がこっちに近ずいてくる…
そのまま毛布にくるまっていると、
ばっと剥ぎ取られる

｢サナ…？｣

サナ｢ふぇ？｣

名前を呼ばれ、変な声が出る
だって、この声…

サナ｢トリックさん？｣