遊園地エピローグ/sstk ページ7
後に663円事件と呼ばれるsasatikk署長誘拐事件は、遊園地エンドで幕を閉じたらしい。
へリの操縦ができない私はパシフィックにかかりきりで、署長の無線を聞き逃してしまったことをこの上なく後悔している。
自力で署長を奪還できなかった。署長の信念を曲げさせてしまった。
病院で手当を受けながら、私は一人、唇をかみしめていた。
「はあ…疲れた」
私は慣れない松葉杖をついて、警察署の段差を何とか上がった。
今日はいつにも増して忙しかったから、きっとみんな退勤してるだろうな、と思いながら玄関の鍵を開ける。
「あれ…署長」
「Aさん…どうしたのそのケガ」
平然と一人座って事務作業をしていた署長を見て、私は思わず大声を出してしまった。
「署長、…無事で、良かった…」
「わわっ、大丈夫？」
気が抜けて座りこんでしまった私に、署長は優しく手を差し伸べてくれた。署長の手を借りて立ち上がった後、どうもです、とお礼を言った。
病院にいる間に、釈迦さんから連絡はもらっていたけれど、署長を見た瞬間に、張り詰めていた糸がきれる感覚がした。
「てかなんで事務作業してるんですか。長時間の拘束で疲れてるでしょうし、私が代わりにやりますよ」
「いやいや、Aさんこそケガしてるじゃん。人のこと言えないよ？」
正論で返され、言葉が詰まる。ケガ人同士で議論しても平行線だろうと、私は署長の机上の書類を数枚とって、自分のデスクに勢いよく座った。
「じゃあ一緒にやります、どうせ私今日宿直なんで」
「余計寝なさい。夜中事件あったらどうするの」
「今日の騒ぎでどこのギャングもつかれてますよ。まあ、署長が手伝わせてくれなくても、終わるまで起きてますから」
私が折れないことを理解したのか、軽くため息をついた署長は、ほどほどにしなさいね、といって元の席に座った。
どうもです、じゃなくてちゃんとお礼言えば良かったなとか、署長がいなくて心細かった、なんて言ったらどんな顔するかなとか、どうでもいいことばかりが頭の中でぐるぐると回る。
書類仕事に目処がつき始めた頃、おもむろに署長が口を開いた。
「そのケガ、どこでしたの。さっきパシフィックあったって聞いたけど、結構激しかった？」
「あー、えっと、左腕は署長が誘拐されてすぐのユニオンで撃たれて、足とかそのほかは…パシフィックで負傷しました」
「ケガした状態で現場行ったってこと？」
声が怒っているような気がして、ぎゅっと唇に力が入った。
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流 - 見つけたので読んでみたら懐かしくなってロスになってしまいました！凄く良いお話ばかりですね。更新があればkneさんのお話待ってます！ (4月21日 2時) (
レス) id: 3b26bb41f1 (このIDを非表示/違反報告)
lemon - リクエスト書いてくださって本当にありがとうございます！しゃかさんの口調が本当に大好きなので上手くトレースされていてスラスラ引っかかることなく読めました！私が見たかった話そのもので本当にめちゃくちゃ好きです😘 (12月26日 9時) (レス) id: 07a8a3ab03 (このIDを非表示/違反報告)
ねるねる(プロフ) - ありがとうございます!そう言ってもらえるととても嬉しいです! (12月6日 21時) (レス) id: 4974eeeb32 (このIDを非表示/違反報告)
miyaana(プロフ) - 好きです！応援してます！ (11月24日 17時) (レス) id: dd83a370ce (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ねるねる | 作成日時：2023年10月22日 22時
