モノクロ3【鬼ヶ崎カイコク】

第108話 信じたい ページ20

・・・・優しく言った？


そういうしか無かったんでしょ？


自分が無力だから


自分ではどうすることも出来ないから


あの時と全く変わらない


また、貴方のせいで人がいなくなる


どこか、遠い遠い場所へ行ってしまう


貴方は周りを不幸にする


いえ、大切に思ったその人をその人達を不幸にする


自分はなーんにも傷を負わないで


もうさ、わかってんでしょ？


だったら……









『とっとと消えろよ。この疫病神』

ああ、やっぱり。

あなたは私を憎んでいるんだね。

もうすぐあなたと同じ場所に行くから。



「……！」



だからもう………



ユズ「ユイユイ！！」


貴方「！！！」


ユズ「疲れているなら、仮眠室に行ったほうがいい」


貴方「いえ、大丈夫です」


ユズ「君の大丈夫は大丈夫じゃないからな。ほら見ろ、うちのナースが心配そうに見ているぞ」


カリン「……」


ユズさんがさした先には本当に心配そうにこちらを見ているカリンちゃんの姿があった。そして、ユズさんもカリンちゃんとは違って落ち着かない顔をしていた。


顔を見れば、大体のことは分かる。分かってるつもりだ。


けど、私は疑うことしか出来なかった。


けど、こんなにも私も見ていてくれる人を

こんなにも気にかけてくれる人たちを


貴方「ユズさんっ………」

裏切る訳にはいかない


『疫病神』


だいぶたった今でもその言葉がずしりと心に落ちる。重い……。今はここを動きたくない……。


人がいる場所から離れたくないっ………。


思ってることを言えば、周りはそれを気遣ってどんどん離れていく。

けど、私の心に溜まった吐き出したい本音は……



きちんと口にしなきゃいけないんだ。

“あの人”の時だって


貴方「私っ……」


おにーさんの時だって


貴方「私はっ………」


口に出していれば、まだマシな状態だったかもしれない。


貴方「私はもう、人を疑うはヤなのっ……だけど、やめることをきっと“あの人”は許さないっ
違うっ、今言いたいのはこんな事じゃなくて……っ」

ユズ「ユイユイ落ち着け。ちゃんと聞いているから」

抱きとめて、頭を撫でてくれているユズさんの手が暖かくて、背中をさすってくれているカリンちゃんの手が優しくて涙が落ちる。


貴方「ユズさん達のこと、大好きなんですっ。失いたくないんです。信じたいんですっ……」


ユズさんの肩に必死にしがみつき弱々しい声でそう言った。

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