モノクロ2 【鬼ヶ崎カイコク】

第57話 雨 ページ10

パカメラを両手に抱き只今街を捜索中。
なぜ、パカメラを抱いているかって？

・・・・独り言じゃ無くすためさ。
まあ、周りから見たらもっと不気味なんだろうけど。

けど、1人より全然いい。

今までの状況を整理する。

まず、これは本当にリアルだということ。

1度は、バーチャルの世界とか考えたんだけど、私の病気が、発症したことによりバーチャルという線は薄くなる。

次に、パカについて。

パカは私たちをどうする気なんだろうか。それが一番の疑問。私達は本当に１億ビュー達成、またはゲームクリアをしたら帰れるのだろうか。まあ、疑ったところでとぼけられるのがオチでしょうけどね

パカ「ブェックション！！」

そして、アカツキ君に対する執着心のようなもの。何かあるのかな。それは、ユズさんも同じなんだろうけど。

そして、3つ目は────

パカメラ「ふぇ〜〜〜〜」

パカメラがこちらを向いて大きな声で鳴いた。
すると、雨に濡れていることに気づいた。
土砂降りだ。こんなの受け続けたら風邪をひくな。

そんなことを思っていながら上を見上げていたら、見覚えのある番傘が私の視界を支配した。
後ろを振り返ると予想通りの人がいた。

おにーさん「よぉAちゃん。風邪ひくぜ」

貴「奇遇ですね、おにーさん。何してたんですか？」

おにーさん「ん？探検(ﾆｺｯ」

貴「またですか…懲りませんね」

おにーさん「今度はあぶねぇーことはしてないぜ？」

貴「当たり前です。昨日の今日でやらかしたら、本物のバカですよ」

おにーさん「ははは、ひっでぇー」

“入んな、送ってく”そう言っておにーさんは、私の方にほとんどの傘を向けながらタワーまで歩いていった。

自室のシャワールームに入り3つ目のことを考える。3つ目とは……

私達の中のスパイの可能性。私たちと同じように、拐われたフリをして一緒にゲームを進めてる可能性。

まあ、あくまで『可能性』だけどね。

……二度と同じヘマはしない。
いるなら必ずあばいてみせる。見つけたからと言って特に何かする訳でもないが。

鏡の横に手を置き鏡を見つめる。

そして、自分に言い聞かせるのだ

気づかれないように、悟られないように









────────相手を騙すのだ……と。

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