シアワセノカタチ

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聞きなれた声が聞こえて
そっとテレビの中の彼を見つめる






｢…｣


アナウンサー｢〜ですよね？伊野尾さん｣



慧｢え？あーそうなんじゃないですか〜？｣



スタジオが笑いに包まれる





彼の周りはいつもたくさんの笑顔が溢れてる
子どもみたいに無邪気に笑っては、ほら、また困らせてる





優しい笑顔
綺麗な手
女の子のような白い肌
ぷるんとした口






｢…この口、嫌い｣






この口から発せられるのは私を苦しめる言葉だから






__慧｢ごめん…A｣


__｢別れたいってこと？｣


__慧｢……｣


__｢……黙んないでよ笑｣









考えれば考えるほどいつだって
蘇るのはこの一瞬







あの日に戻れたら、
もう少し言葉を交わして向き合えたら






結末…変わってたのかな






__慧｢俺、幸せすぎて頭おかしくなりそう｣


__｢え？笑｣


__慧｢Aが思ってる以上に俺Aのこと好きだよ｣


__｢なにそれ笑｣






無邪気に笑い合う私たちに
別の未来が用意されていたのかな






薬指に感じるのはリングの冷たさ






____｢お母さん私やっぱりお見合いするよ｣


___母｢…いいのね？｣


____｢うん｣










｢これで…良かったんだよね？…慧｣





慧｢……｣






テレビの中の慧はいつになく元気が無さそうだった






まるで







ーー行かないで、A








そう言われてるみたいに
都合よくそう感じ取っていた

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