シアワセノカタチ

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母｢あら〜、馬子にも衣装ね！似合うじゃない｣


｢そかな｣




真っ白なドレスに身を包み鏡の前に立つ






｢なんか別人みたい｣


母｢そうね｣


｢そうねって！！笑｣





自分が結婚できるだなんて当時の私は思ってもなかった。
慧と別れてから世の中が真っ暗に感じて
世界に色が無くなったみたいで
毎日毎日を捨てるように生きてきた




｢…｣




ドレスを触るとフワッと押し返してくる独特な感触が手にやけに残った
まるで私に着られたくないみたい





信じられないけど何度見てもそこに居るのは''私''だ






母｢…綺麗よ｣



｢ありがと｣




どうしようも無く好きだった
呆れられるくらい
この人しかいないとすら思ってた






別れたあとも何度も泣いて
お酒だって弱いのに飲んだことない量を飲んで
女友達みんなに''やめて正解''
そう言われたけど納得いかなかった




そこまで好きになったのに
こんなに好きなのにさ
好き同士…なのに…





まっ白なドレスを着て一緒に歩くのは彼だと思っていた。
それ以外の未来なんて想像もできなかった。






透馬｢うんいいね。すごく綺麗だよ…｣







でも振り返ると
そっと微笑みながら立つ彼に
これがその''それ以外の未来''なのだと強く思い知らされた






｢んふふ〜ありがと｣





プランナーの人も、彼のお義母さんもわっと声を上げて喜んで褒めてくれる。
なんだかまるで、お嬢様になったような気分







プランナー｢こちらのドレスでよろしいでしょうか｣


透馬｢はい。当日はよろしくお願いします｣





地に足をしっかり着けて、前を向いて歩いた第1歩。
気がついたら打ち合わせは終わっていて
魔法が解けた様にあっという間にただのワンピースになった。






なんだかやっぱり、私服は落ち着く

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