シアワセノカタチ

Prolog ページ1

俺は




彼女の笑顔が大嫌いだ。





忘れようと思って目を瞑っても
何度も何度もその笑顔が頭をよぎるから





｢慧が作ったの！すごい！！｣って
弾けるように笑顔を向けたり





寝ぼけ眼でふにゃっとしたとろけるような顔を向けて
｢慧…おはよ｣って笑うから





いつだってカーテンを開けるのは君で
コーヒーを淹れるのは俺で






君が目玉焼きを美味しそうに焼いて
俺がレタスをちぎって乗せるんだ





他愛もない話をして、俺は仕事に行って
君も仕事に向かうんだよね






鍵、ちゃんとかけた？って俺がLINEを送ると
もう！かけたってば！笑 って君から返ってくる







早く終わった日は俺が変わりに夜ご飯用意してさ、
そんな毎日だったよね







慧ただいまー！って大きな声で帰って来る
君の小さく華奢な身体を、







柔軟剤でも香水でもない君だけの優しいいい香りごと
俺が1番に抱きしめて、おかえり。って言うんだ






今はもう







いないけど







A






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