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｢あ｣
慧｢あ｣
息をするの、忘れたみたいに
言おうとしてた言葉なんか頭から全部消えて
慧｢ま、眩しい…｣
｢え？！あ！ごめん｣
焦りながら携帯のライトを消す君は相変わらずで
｢……｣
困ったように、どうしていいかわかんなくてキョロキョロして、思わず目を伏せてる
慧｢遅いのに、なにしてたの？｣
｢え？…あ、いや、えっと｣
慧｢無くし物でもした？｣
｢え？！？！…いや、その、うん｣
なんでわかったの！とでも言いたげに
元々大きい目を更に大きく見開く
落ちてるピアス
携帯を照らしながら歩く姿
俺からしたら余裕で状況証拠揃ってるんだけどね笑
慧｢それってこれ？｣
ピアスを手のひらに乗せて差し出すと
しっぽを振って喜ぶ子犬みたいに目をキラキラさせて
｢あったぁ〜！！！！！これ！！｣
ほんとに嬉しそうに俺の手からピアスを受け取って
その小さな手で握って、胸元できゅっと抱きしめて
｢ありがとう！！！｣
弾けるように、俺の苦手な、大好きな笑顔をまた向けた
寒かったろうに
手先も、鼻先も真っ赤にして
俺のあげたピアス、大事にしてくれてたんだね
気づいたら
｢え｣
言葉よりも先に無意識に思い切り抱きしめていた
どのくらい、こうしてたんだろう
｢ちょっ…慧｣
慧｢あ｣
｢びっくり…した｣
慧｢…ごめん急にびっくりしたよね｣
｢いや、うん、大丈夫｣
心做しかさっきより頬を赤く染めた彼女は俯いたまま、じっと動かない
しんとした空気が流れる
空気が冷たいのに何故か心が暖かい
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作者名：美月
| 作成日時：2023年12月10日 3時
