番外編〜1年に1回の逢瀬〜 ページ34
ささの葉さらさら
のきばにゆれる
お星さまきらきら
きんぎんすなご
「坂口さんなら、短冊にどんなお願い事を書きますか?」
「は?」
七月七日。
此の日は
二十五という若さで参事官補佐にまで登り詰めた坂口安吾は、ある年上の部下の言葉に眉をひそめた。
「息抜きですよ、い·き·ぬ·き!坂口さんったら隈濃すぎなんもん。将来禿げますよ。」
「禿げません。」
部下の失礼な物言いに、安吾はすかさず反論する。
因みにこんなに安吾と親しげに話せる部下は此の人ぐらいである。
「まあ、まあ。禿げる禿げないは兎も角、今日は七夕ですよ。幾ら俺達がそういう行事とほぼ無関係な社蓄だとしても、一寸は楽しもうとは思わないんですか?」
「思いません。」
「其処をなんとか!」
安吾はハァと溜め息を吐くと、暫し考えた後、口を開いた。
「休みが欲しい。」
「うわ、社蓄〜〜〜」
自分から聞いた癖になんだ其の返事は、と思った安吾はムッとして
「そう云う貴方は何て書くんですか?願い事。」
と聞いた。
「そうですねー」
部下が考えていると、
「何の話しているんですか?」
偶々其処を通り掛かった荷風が問い掛けた。
「お、荷風君!荷風君なら、短冊に何て書く?」
「短冊?」
「ほら、今日って七夕じゃん?」
ああ、そう云えばそうだったな。
荷風は数秒考えた後、
「俺なら、休みが欲しいって書きますね。」
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チェスのクイーン - 有り難うございます!更新頑張ります! (2022年2月5日 18時) (レス) id: 12c047e2ba (このIDを非表示/違反報告)
AYA - この作品めっちゃ面白いです! 更新頑張って下さい! (2022年2月5日 12時) (レス) @page3 id: 38ab2f94d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チェスのクイーン | 作成日時:2022年2月4日 20時