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二十六話〜slap the stick7〜 ページ27

「「「妹ーーーーー!!!???」」」



衝撃の事実に思わず声が大きくなっている敦、国木田、樋口。
三人の一歩後ろでは、荷風がやれやれと云った風に、肩をすくめている。


「芥川の···妹?」


五人の前に座っている銀は不思議そうな顔をしていた。

泣きそうになっている樋口に、苦笑いの荷風。


「まさかあの銀だとは思わなかったです···何時もと全然雰囲気が違いますね。」


流石に荷風も黒髪の撫子が銀だとは思わなかった。
すると、心配そうに「どうする、花袋。」と国木田が花袋に問い掛ける。


「お前、ポートマフィアが嫌いだろう。」


確かにそうだ。
ポートマフィアの樋口にあんなに馴れ合うつもりはない発言をしていたのだから。

花袋はとぼとぼと銀に近づき、銀の前に立った。
真剣な顔で手紙を差し出す花袋。


「貴女を一目見た瞬間、儂は美しさの意味を知った。」


銀の答えは·····



















「うわわわわわーーーん」


ヨコハマの或る家にて。
花袋の嘆く声が轟いた。

布団にくるまり泣いている花袋。
そう、お察しの通り、失恋だ。









「花袋さん、大丈夫でしょうか。」


「ああ、其のための恋文だからな。」


「え?」


夕暮れ時のヨコハマで。
敦の問いにそう返す国木田。


「元来、おかぼれした相手に想いを伝える度胸など、花袋にはない。だが、何時までも片想いにかかずらっては、調査が出来ず俺が困る。」


「特務課もですよ。結構重大なんです。」


荷風が国木田の言葉に付け足す。


「だから奴は進んで玉砕したのだ。」


国木田は歩みを止めた。


「泣くだけ泣けば、仕事を始めるだろう。」


「花袋さんの事、よくご存知なんですね。」


敦がそう云うと、国木田がヨコハマの街並みを眺めた。


「奴が探偵社に戻れば、少しは楽なんだがな。」


荷風はフっと笑う。


「まあ、義理の兄が芥川なんて、俺は御免なんですけど。」


荷風が少し走り、敦達の方に振り向き笑みを浮かべた。


「其れでは皆様、御元気で。探偵社の方々にどうぞ宜しく。」


荷風が又走り出そうとすると、敦が「あの!」と呼び止めた。


「異能特務課が花袋さんに依頼した内容って·····」


荷風は一瞬ポカンとし、人差し指を口元にやる。


「秘密です。」


強いていうなら『御願い』だ。

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チェスのクイーン - 有り難うございます!更新頑張ります! (2022年2月5日 18時) (レス) id: 12c047e2ba (このIDを非表示/違反報告)
AYA - この作品めっちゃ面白いです! 更新頑張って下さい! (2022年2月5日 12時) (レス) @page3 id: 38ab2f94d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チェスのクイーン | 作成日時:2022年2月4日 20時

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