二十四話〜slap the stick5〜 ページ25
「教えて、と云われても、僕らにも彼女の氏素性は分からなくて···恋文を渡すべく捜しているんですが·····」
俯く敦に隣を歩いている樋口は話の内容に驚く。
「こ、恋文!(人虎め、意外と大胆···)」
少し頬を染めている樋口に、荷風は樋口が勘違いをしている事に気付くが、敢えて言わない。
そんな事は露知らず、樋口は思考を巡らせていた。
(ん、待てよ。)
人虎が恋文渡す→芥川先輩とあの女が別れる→何がとは云わないが大変都合が良い♡
此の思考に至った樋口は満面の笑みで敦の手を握った。
「ナイス···♡」
「え」
樋口の行動に固まる敦。
そんな敦にお構い無く、樋口は云う。
「貴方を応援します!女性は強く押しきられるのを望むもの!でも其の前髪はきちんと切るべきですね、服も新調しなさい!」
しかし、樋口の言葉は或る人に遮られた。
「恋文を渡すのは彼ではないぞ!」
其の声に振り向く一同。
其処には、布団を被ったままの花袋がいた。
「我が恋熱の行方、見届けぬ訳にはいくまい!」
「花袋···」
「何故布団を···」
花袋が外に出たことに驚く国木田と布団を被っていることに呆れる敦。
樋口は花袋を観察した後、眉をしかめた。
「恋文の主は貴方ですか。何と云うか、人虎に和を書けて望み薄そうな方ですね。」
「其れは云ってはならないやつですよ。」
失礼な事を云う樋口に、注意する荷風。
どちらも失礼である。
「だまらっしゃーーーい!!!」
大声を上げる花袋に肩を震わせる敦と樋口。
荷風も少し驚いた様な表情をする。
「想いの深さならば、誰にも負けぬ!」
花袋はぎゅっと拳を握った。
「第一、貴君はポートマフィアだろう!此の花袋、武装探偵社を辞したといえども、犯罪者と馴れ合うつもりはなーーーい!」
随分立派だが、向いている方向が可笑しい。
「人虎、何故彼はあっちを向いて怒っているんですか?」
花袋は樋口の方ではなく、誰もいない方を向きながら怒っていたのだ。
敦はそんな花袋に苦笑いをする。
(本当に女性と話すの苦手なんだな·····)
すると、ピンポーンと自動ドアが開く音がし、敦はそちらへ振り向いた。
「いた···」
其処には黒髪の撫子が·····
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チェスのクイーン - 有り難うございます!更新頑張ります! (2022年2月5日 18時) (レス) id: 12c047e2ba (このIDを非表示/違反報告)
AYA - この作品めっちゃ面白いです! 更新頑張って下さい! (2022年2月5日 12時) (レス) @page3 id: 38ab2f94d7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:チェスのクイーン | 作成日時:2022年2月4日 20時