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二十二話〜slap the stick3〜 ページ23

「なっ、本当か?」


国木田が驚いた顔をして荷風に聞いた。
荷風は頷き肯定する。


「ええ、俺、記憶力には自信があるんです。」


「い、一体誰なんだ?此の黒髪の撫子は!?」


花袋が荷風に問い掛ける。
しかし、荷風は何故か頚を横に振った。


「ですが、何処の誰かは分かりません。きっと、俺と会った時は違う格好だったんだと思います。」


其の解答に、花袋は暫く考え込む様な素振りをしてから顔を上げる。


「そうか···ならば分かった。こうしよう。」


花袋の目に何かが宿った。


「探偵社及び異能特務課の永井に、黒髪の撫子捜しを依頼する。」



















一方樋口は、黒い車を走らせていた。


「はぁー」


と疲れた顔で溜め息を吐く。
すると、


キキーッ


といきなり車を止めさせた。
其の原因は·····


「芥川先輩、仕事帰り·····!」


そう、樋口が敬愛してやまない、ポートマフィアの芥川龍之介だった。
誰かと待ち合わせをしているのか、腕に着けた腕時計を見ている。


「落ち着け〜〜冷静になれ〜〜樋口〜〜」


樋口は妄想を膨らませる。
お洒落に然り気無く芥川を車で自宅まで送る自分を。


「これだ〜〜凄く然り気無い!もしかして、『茶でも飲むか』とか云って、ご自宅に上げて貰ったりして〜〜」


樋口の目は爛々と輝いている。
しかし、直後に樋口の瞳は光を失った。


「久しぶりだな、帰るぞ。」


そう芥川に云われ、微笑む黒髪の撫子。
二人は茫然としている樋口に気付かず、その場を後にした。


「あの女·····」


くわっと見開いている目に何故か痩せこけた頬。
無意識なのか、樋口の声は何時もより低かった。


「だ·れ」


その様子は、まるで腐肉体(ゾンビ)だ。

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チェスのクイーン - 有り難うございます!更新頑張ります! (2022年2月5日 18時) (レス) id: 12c047e2ba (このIDを非表示/違反報告)
AYA - この作品めっちゃ面白いです! 更新頑張って下さい! (2022年2月5日 12時) (レス) @page3 id: 38ab2f94d7 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:チェスのクイーン | 作成日時:2022年2月4日 20時

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