嫌われてない ページ6
隊律違反者の竈門炭治郎君のそばに降りると、
彼はしきりに警戒して来た。
A「そんなに警戒しないで？
君の妹は今は斬らないから」
炭治郎「今は……？」
竈門君は妹さんを抱きしめて此方を見つめてくる。
A「君は裁判にかけられるの。
そこで妹さんの先行きが決まる」
A「君は拘束しなきゃいけないから、
じっとしててくれる？」
私が竈門君に近寄ると彼はジリジリと後退する。
まるでこっちに来るなとでも言うように。
A「大人しくしておくのが身のためだよ」
炭治郎「禰󠄀豆子に、禰󠄀豆子に手を出さないでください」
……手を出さないってさっきから言ってるのにな。
全く。これじゃ埒が明かない。
実力行使と行きますか。
A「君、ちょっと寝てて」
彼との距離を一気に詰め、その首筋に手刀を落とす。
彼の身体は重力に従って落ちていく。
A「君も箱に入って」
彼の抱えていた鬼にそう言うと、
彼女は素直に箱に入った。
A「じゃあ、隠の人達。
産屋敷邸まで彼らをお願いします」
竈門炭治郎達を拘束しに来た隠の人にそう声をかけて、
私も産屋敷邸へと走り出す。
胡蝶「如月さん。彼らの拘束ありがとうございました」
A「いえ。ところで冨岡さんは
彼らとどの様なご関係なのですか？」
冨岡「……あれは確か、二年前のこと＿＿」
胡蝶「そんな所から長々と話されても困りますよ。
嫌がらせでしょうか？
嫌われてると言ってしまったこと根に持ってます？」
私から言わせると根に持ってるのは胡蝶さんじゃない？
冨岡さんに担がれた時に憤慨してたし。
今も怒りで僅かに声が震えてるよ？
冨岡「………」
冨岡さんは胡蝶さんの言葉に黙ってしまい、
歩みも止めてしまった。
A「……冨岡さん。簡潔にお願いします」
冨岡「………」
A「冨岡さん？」
胡蝶「冨岡さーん？聞こえてますか〜？」
冨岡「俺は、俺は嫌われてない」
……えっ。胡蝶さんの言葉気にしてたの？冨岡さん。
心なしか冨岡さんの肩が下がっているように感じる。
あらら。冨岡さん、相当傷ついてるかも。
胡蝶「……あ、あの冨岡さん？」
僅かに動揺したような胡蝶さんの声。
A「だ、大丈夫ですよ、冨岡さん！
胡蝶さんは冨岡さんの事が大好きですし！」
胡蝶「き、如月さん！？
私は冨岡さんの事、別に好きじゃないですよ！？」
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作者名：燈子 | 作成日時：2023年3月12日 19時
