思い ページ10
「おっ」
音柱・宇髄天元は伝達のため、水屋敷に向かう途中の庭園で何処かぼんやりとしているAを見つけた
庭園の中心にある木の下で、心此処にあらずといった表情と視線で空を眺めている
宇「何やってんだ?」
然程小さな声でもなかったが、どうやら聞こえていなかったみたいでAから返事はなかった
宇「おーい、A」
自分の世界に入ってしまっているAに近づき、もう一度声を掛ける
A「……………!!」
ゆっくり、時間をかけて宇髄のほうに振り向いたAの目が驚きに見開かれる
宇「よ!」
A「ううう宇髄さん!!?」
宇「“う”が多いわ。隣、座んぞォ」
よっこらせ、と言いながら座った宇髄を見ながらAは胸に手をあてて呼吸を整える
A「どうして此処に?」
宇「冨岡の野郎に用事があってな。お前見っけたから声かけたのに地味に無視しやがって」
A「え!?す、すみません…!!」
宇「うそうそ。そんな慌てんなって。何やってんだ?こんな所で一人…冨岡は一緒じゃねェのか?」
A「義勇なら屋敷に。私は少し気分転換したくて…」
宇「気分転換ねェ」
そう言って、宇髄は先ほどまでAが眺めていた空を見上げる
A「…蝶屋敷が燃えたそうです」
宇「そうらしいな」
A「花柱に受け継がれてきた屋敷が燃えたことで、管理不足の責めを受けていると…」
宇「んなもん当然だろ。お前が気にすることじゃねェよ」
A「でも、………親友だから…何か私に出来ることがあればって…お館様に手紙出したけど、良い返事もらえなくて…」
宇「はあ?お前、あの女に何をされたか忘れたのか?」
A「忘れてないですよ。…忘れられないです………けど…」
宇「けど?」
A「この間、不死川さんに助けられた時…しのぶに“最低”って言っちゃって…」
宇「あのなぁ」
宇髄はハァーと大きなため息を吐いた後、Aの前に移動し両肩を掴んで目を合わせる
宇「いいか?その“最低”っていう言葉が当てはまる行為をしてきたのが、あの女だ。何があっても信じようと行動したお前を、とことん裏切ってきたのがあの女だ」
A「………」
宇「でも、まァお前のそういうところ嫌いじゃねえよ」
宇髄はニイッと笑いながらAの頭に手を乗せた
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抹茶もち(プロフ) - ゼリーさん» 嬉しいです(*´・∀・`*) (2021年4月18日 18時) (レス) id: 4481fd6e11 (このIDを非表示/違反報告)
ゼリー - 続きがたのしみ (2021年4月18日 9時) (レス) id: 0e2fa8cd07 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:抹茶もち | 作成日時:2020年9月5日 14時