悪女に花束を。

愛しい人 ページ48

私と冨岡さんは恋人同士になった





呼び名は「冨岡さん」から「義勇」になり

義勇も私の名前を頻繁に呼んでくれるようになった



「お慕いしています」と言えば

私の頬に手を添えて「俺もお前が好きだ」と言ってくれる





私を選んでくれた



私との時間を大切にしてくれている



私の中で義勇の存在はどんどん大きくなっていった





＊＊＊





A「ふふっ」


冨「……なぜ笑う」


鼻と鼻がくっつく距離にある冨岡の眉間に皺が寄る


A「嬉しくて」


冨「嬉しい？」


A「はい、嬉しいです。こうやって義勇に触れてもらえて」


冨「俺も嬉しい。……が、それは今言わなくてもいいし笑わなくてもいい」


そう言って、冨岡は中断した口づけを再開する


A「ん、…ふっ」


腰を抱き寄せ、後頭部を押さえ込んで深く唇を重ね合わせ、角度を変えて何度も口づける


冨「…甘いな」


小さく開いた口内に舌を入れ、混ざっていく唾液が甘く

もっと欲しいと言わんばかりにAを畳に押し倒して覆い被さり、夢中でその小さな唇を貪った





＊＊＊





どれほど時間が経っただろうか…不意に左手で強く胸を押し返され唇が離れた


冨「何だ」


A「きゅ、休憩を…っ」


息を上げて舌っ足らずなAに、冨岡は仕方なしに起き上がりAを抱き起こした


冨「A」


A「はい…」


冨「俺から離れるな」


そっと優しく額に唇を落とされ、Aは冨岡の背に腕を回した





(嫌だと言っても一生、離れません)

(貴方は私の愛しい人なのですから)

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