悪女に花束を。

偽りの友情 ページ5

(───どうして…)





コツコツと積み上げてきたものが、いとも簡単に崩壊してしまうなんて…





＊＊＊





私はしのぶが大好きで仕方なくて、ずっと一緒にいた



価値観が近い


言葉を交わさなくても、顔を合せて目を見ただけで気持ちが通じあえる



私の一生の友達



大切な親友



合理性では語れない心と心の結びつきを持っている…そう思っていたのに





A「…なんで……？…しのぶ…」





その想いが、一方的なものだったなんて





───偽りの友情だったなんて





＊＊＊





冨岡さんが好き

恋を自覚してすぐ、私はとても面倒な状況に陥った






私の親友で

同じく冨岡さんを好きになってしまった恋敵…胡蝶しのぶ





慈愛に満ちた優しい眼差し
　

鳥が唄うような丸みのある声色


引く手あまたの高貴な存在


条件的にはこんなの戦いにもならない、しのぶの一人勝ちだと思っていたのに実際は違った





冨岡さんはしのぶにも興味を示さなかった





これは好機だ





そう思って私は今日、しのぶに宣戦布告をした





A「私はしのぶのことを親友だと思ってる。でも、隠し事をしてまで仲良くしたいとは思わない。これであなたが私を嫌うならそうすればいい……私、冨岡さんのことが好き。正々堂々と勝負しましょう」



そう宣言した



し「わかりました。本当のことを言ってくれてありがとうございます。私もAのことは親友だと思っています。だから正々堂々勝負しましょう」


そう言うと、しのぶはいつもの可愛らしい笑顔でニコリと笑い首を傾けた





＊＊＊





私は自分の部屋で一人怯えていた



上手く笑えていただろうか？
　

しのぶに負けそうで怖いことがバレていないだろうか



しのぶが親友だからって、こればかりは譲れないし負けたくない


でも普通に考えて条件は圧倒的に不利だ


私はどうしようもない不安を抱え、眠れない夜を過ごした





その次の日だった。しのぶが私を裏切ったのは───

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