5,『よくぞお戻りになりました』(サクヤ) ページ5
〜サクヤ姫side〜
恐ろしい事になりました。
今の國はまるで古の伝承の如き怪しきありさま。
どうしてこのような事になってしまわれたのでしょう!?
…ともかく事は一刻を争いますね。
百年余 我が身を尽くして魔より守りしこの神の器、ついに主の元へと帰す時が来ました…。
サ)いざ天照る神よ、今こそその力で濁世をあまねく照らし我らに神明のお導きを授け給え!
私は円を描き、守り続けた神器を主である白野威の像へ
すると像は白き毛並み、そして背には神器を宿した狼の姿となった。
百年前と変わらずお美しい…。
サ)おお!その汚れなき純白の御芳容は正しく我らが慈母にましますアマテラス大神!百年の昔その身命をなげうって〈強大な魔の物〉を退治しこの國を救い給うたその威風、些かも変わりありませぬ。石像に身をやつして時を経ながらよくぞお戻りになりました。グスッ…
私は喜びのあまり、思わず涙がこぼれた。
だがこんな私をよそに、アマテラス大神はあくびをし、その場で寝てしまった。
…村の人達が言ってたKY(?)ってこの事かしら……?
サ)コホン……、と…ともかくアマテラス大神、この猛り狂う雲のありさまをご覧あそばされよ。貴方がお隠れになった後も世には物の怪が蔓延り、この緑美しき國〈ナカツクニ〉を乱しておりました然れどもこれほど不吉なありさまは見た事がありませぬ。どうか貴方の通力で闇を祓い、悪しき物どもを成敗し給いそして…?
私は急に感じた違和感に、話すのをピタリと辞めてしまった。
サ)おや、これは何ぞ?急に懐がこそばゆく…ホホッ、ウフフ、アハハハハハハ!
そして懐から何かが現れた。
サ)…ハァ、ハァ、い…今のは一体…。お…お前は!?
?)痛テテテ、ひでェ事しやがんなァ!大したカラダでもねぇのにギャーギャー騒ぎやがってェ。クソ難しい話してるから面白くしてやったんだろォ!?
サ)これ、玉虫や。お前また私の懐で昼寝を?
?)オイラをムシケラ扱いすんなっていつも言ってんだろォ!?
オイラは全國行脚の旅絵師〈イッスン〉さまだィ!
そう言い放つと玉虫はアマテラス大神に向かって一つの絵巻を開きどサッと乗せた
イ)ホレ、その眼を開いてオイラの名筆をとくと拝みなァ!
描かれていたのは…、私の絵
イ)どうだい、本物よりカワイく書けてるだろォ?
そう言いアマテラス大神の上に乗った。
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作者名:迦楼羅炎 x他1人 | 作成日時:2015年4月3日 22時