相談 【七瀬望】 ページ4
「ふっふ〜ん♪ふふふ〜んふーんふ〜ん♪」
綺麗な夕日が見える道を鼻歌でSOARAの曲を歌いながら歩くこの瞬間が俺は好きだ。
なんだか、生きてるって感じがする。
何気ない日常は俺にはピッタリだよな〜……でも彼女は欲しい。
「ふ〜ふ〜ん……ん?」
ふと何か聞こえた気がしてピタリと足を止める。
この時間にこの通り歩いてる人が……?珍しいな。
夕方のこの道はあんまり人もいなくて歌いやすかったんだけど……
チラリと声のした方を見てみるが、この角度からじゃよく見えない。
「あー、木が邪魔だな……あ、スカート見えた」
どうやら女の子のようだ。もしかしたら女装した男かもしれないけど……
どうしよう、なんか泣いてるみたい……
そーっと通り抜ける……?いや、普通にしてないと不自然だよね?
「あーどうしよ……」
『……のぞむ?』
「ぅおっ!」
変な声出た!!
恥ずかしさで体温が上がる。というか、今の声……A…?
バス停のベンチに座りこちらをじーっと見つめてくるA。
ちょっと可愛い。
「えー、と……久しぶり?」
『…一昨日もあった気がするんだけど……』
「そだっけ……」
泣いてるとこ見ちゃったし、なんか…気まずいなぁ。
緊張でたらたらと汗が流れる。
にしても、今日のA一段と可愛い気がする……服も可愛いし…髪型もなんかオシャレだ。
どっか行ったのかな?だとしたらなんで泣いてたんだろ……
すんすんと鼻を啜りながら目をこするのが痛々しくて俺は咄嗟にポケットティッシュをAに渡した。
『望がティッシュ持ってるなんて……』
「さっき道端で貰ったやつ…擦ると痛くなるから、使って?」
『うん、ありがと…』
よくわかんない広告のついたティッシュを受け取るAの顔は心做しかさっきより明るく見える。
「そーだ、結構ゴシゴシしてたけど……その、メイク?とか大丈夫なの?」
『あぁ、もう落としてるから……大丈夫だよ』
「そっか……あの、Aが良かったらだけどさ…何あったか聞いていい?」
俺も馬鹿じゃないし、もしかしたら…と思う事はあるけど、違うかもしれないし……
Aが話してくれそうなら聞こう。
相談乗れるかもしんないしね!
隣に腰をかけて着ていた上着をAの肩にかける。
着てるワンピースちょっと寒そうだし……
『望がイケメンだ……』
「俺はいつもイケメンでーす」
きゅ、とパーカーの裾を握って驚いたように言うA。
そんなに驚くことかなあ?
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作者名:ななせ | 作成日時:2019年2月26日 7時