【募集企画小説】ヨコハマのイレギュラー達【文スト】 (ページ41)

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運命論者の悲み其ノ壱ページ41

任務が終わり、今は本部の医務室にて森さんに治療されていた。

「全く…右足が使えないのに異能も使わず肉弾戦をするなんて無茶するねぇ…」

森さんは実に愉快そうに笑っていた。

「うるさいです…。元はと言えば全て貴方のせいでしょう」

うふふ。と森さんは笑うと傷に包帯を巻き終えた。

「それでは、出かけますので」

そういい、右足を引き摺りながらドアまで行くと後ろから尋常じゃな殺気を感じる。

首領の本気の殺気だった。

「あ…」

今の私の顔は恐怖に染まっているだろう。

初めて森さんがちゃんとした'マフィアの首領'であると実感した。

「黎霞や…」

気がつけば前に姐さんがいた。

首領が呼んだのだろうか。

「闇の花は闇でしか憩えぬ。光を浴びれば枯れてしまうだけじゃ」

鏡花に言っていた言葉とはまた違う言葉を私に向かって言い放った

嗚呼…。首領は全てわかっていたのか。

本当に、嫌いだ。

「…出かけてきます…」

殺気が一瞬消された隙を見て私は医務室を飛び出した。

姐さんと首領は私を慈愛に満ちた、それでいて殺気を含んだ冷たい目で見つめていた。

──BAR･lupin。

階段を降りると心地よい音が鳴る。

降り終わり、カウンターの方を見ると治はもう来ていて、來夢と珞もいた

「來夢…」

「黎霞。探偵社に戻りたいのは本当か？」

私が声を出した瞬間、來夢が聞いてくる

「嗚呼、本当だよ」

未だ、微かに震える体を隠すように2人とは少し離れた場所に座る。

目の前にモヒートが置かれる。

私達4人でよくここに来ていた時、私がよく飲んでいたものだ。

酒言葉は…

「'心の渇きを癒して'…か」

「覚えていたのだね」

「勿論」

答えたのは治。

過去に自分達が飲んでいるカクテル(や酒)の酒言葉を調べようとして調べた結果、私が飲んでいたモヒートの酒言葉は'心の渇きを癒して'だったのだ

「けど…。どうするつもり？森さんの黎霞への依存は異常。」

來夢の言葉に今まで黙っていた珞が言う

「…そもそもどうして今の2人の関係ができたの？最初はそうじゃなかったでしょ…？」

珞の言葉に治と私は顔を顰める。

「うーん。…黎霞が森さんを嫌ってるのは…同族嫌悪と似たものと、黎霞の想い人を森さんが間接的に殺したから、かなぁ」

「森さんが私に依存してるのは何故かは知らないよ」

私と治の言葉に軽く驚く2人。

「……いや、森さんが君に依存してるのは……」

何かを言いかけてやめた治に疑問符を浮かべた。