ヨコハマギャングスタアパラダヰス 其ノ陸 ページ40
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「......失敗、のようね」
上から先刻までの争いを見ていた私は、冷淡な声で呟いた。
莫迦みたい、正義だの悪だの光だの闇だの。
____結局は、全てが偽善じゃない。
私を、決して自由も何もない退屈だけの鳥籠から。
「......大嫌い。」
其れは、明るい空にふっと消える____誰にも聞こえる事なく。
帰ろう、そして中也に連絡しよう。
そう思い、屋上から降りて帰ろうとした、刹那。
「ちょっと話があるんだけど、善いかい?
......香________否、“月下香”。」
声からして治だ。本来なら振り向くべきじゃない。
振り向いてはいけない筈____だけど、“その名”は。
「どうぞ......手早く済まして下さるなら、ね。」
________場所が変わって、喫茶『うずまき』
私のロイヤルミルクティーと2人分のコーヒー。
今、その私の目の前に座るのは、
元・ポートマフィア最年少幹部____太宰治。
そして、
同じく元マフィアで私の元相棒____榊木珞。
「相変わらず、その甘党は変わらないね」
からかいながらも、目が笑っていない治を横目に、
砂糖とミルクがたっぷりのロイヤルミルクティーを飲む。
「......態々此処に呼んでおいて世間話をするのが目的じゃないでしょう?」
ティーカップを少々強めにテーブルへと置いた。
カチャ、という金属音が静かな雰囲気に響く。
勿論、3人以外にも人はいるが、此処にだけ異様な雰囲気が漂う。
じゃあ、と治が話しはじめようとした時。
「......用件は、人虎くんについて?
まぁ、流石に今から貴方が話す内容までは予測していないけれど。
......それで、何?私にまでマフィアを抜けろと言いたいの?」
私の言葉に、治は微笑した。
「ふふ、流石だね。君は変わって無い。
......敦君の情報をマフィアに流したのは君だね?」
矢張り、気付いていたか。
そんな予感はしてた。治や珞はきっと気付くだろうと。
「えぇ、首領の命令ですもの。」
「その諜報能力は、探偵社でも役に立ちそうなのに。
勿体無いなぁ。それとも、マフィアに残るのは蛞蝓の為かい?」
「私は恩を返しているだけよ。中也は関係ない。
それに、“闇に咲く花は闇にしか憩えない”姐さんはそう云ったわ。
用件は其れだけ?なら、話したから帰らせてもらうわ。
____嗚呼、それともう一つ。私を“月下香”と呼ばないで。」
白月香________能力名[
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ナタデココ(プロフ) - 弓月さん» ありがと (2018年6月30日 23時) (レス) id: 67a39a2c5a (このIDを非表示/違反報告)
弓月(プロフ) - あ。続編くっつけたの (2018年6月30日 23時) (レス) id: 32509f2cb7 (このIDを非表示/違反報告)
ナタデココ(プロフ) - 弓月さん» wwwwwww (2018年6月30日 23時) (レス) id: 67a39a2c5a (このIDを非表示/違反報告)
弓月(プロフ) - ナタデココさん» ありがとつ。この恩は3分後まで忘れない← (2018年6月30日 23時) (レス) id: 32509f2cb7 (このIDを非表示/違反報告)
ナタデココ(プロフ) - 弓月さん» いいぜ← (2018年6月30日 23時) (レス) id: 67a39a2c5a (このIDを非表示/違反報告)
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