【募集企画小説】ヨコハマのイレギュラー達3 (ページ7)

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阿吽之呼吸は途切れない其ノ拾肆ページ7

「………」

飽く迄瀕死にある中、三ツ扇はあることを思い出していた。

4年前のことを。

現在の冥零の本拠地として三ツ扇達がいるここは気象観測跡地。4年前に色々とあった場所なのだ。

(あの時……私が命令に背いていれば。私が異能を使っていれば何か変わったのかもしれないのに……)

4年前に何も出来なかった自分を嘲笑い乍ら三ツ扇は太宰に抱きつきながら眠った。

何も、見ずにすむように。

何も、考えずにすむように。

＿＿＿＿ヨコハマ某倉庫内

「はい？！あの、いや……はぁ？！」

金髪の少女(いや、幼女？)の叫びが倉庫に響く。

「煩いぞ。」

黒髪の女性の声に少女が軽く深呼吸をしてから再びききかえす。

「今、なんと言いました？」と。

「だから、黎霞と太宰と白月を助けろ。メインは冥闇と冥零の逮捕だ。お前は仮にも猟犬だろう？」

そうですけど……と、少女が云う。

少女─朧夜弓月は反論しようとして思いとどまる。

反論したところでこの人は自分に命令するだろうと理解していたからだ。

朧夜の前に立つ黒髪の女性、名を、小泉八雲。

朧夜の主人であり、森鴎外や福沢諭吉などに敬愛されている大人物だ。

「にしても……なんで貴女が黎霞を助けるなんて……」

朧夜の質問に小泉は愚問だな、と言わんばかりの顔で答えた。

「簡単だよ。私と三ツ扇が'＿＿＿＿'だからだ。」

小泉の言葉に数秒開いた。

「……はぁぁぁぁぁぁぁあ？！」

朧夜の最早絶叫とも取れる声が響いた。