阿吽の呼吸は途切れない 其ノ弐拾壱 ページ14
「嗚呼!だから離れろよ糞!馬鹿!阿呆!」
「シショウ!口調!口調!」
もう収集がつかない。
頭を抱え込む華の背中を擦る悠祈。
詰まらなさそうに見る星弥。
一体何が起きたのか………そう。これはほんの5分前。
「まあまあ、手加減はするつもりだから大丈夫だよォ。みっちり、姪を攫った輩をしごかなきゃだしィ♪」
「星弥、言い方が悪いですよ。…………」
「ん?ししょーどうしたんですか?」
急に無言になった晴明を不思議に思い、どうしたのかと問いかける冬樹。
「いいえ、急に悪寒がしただけです…よ………ぁ…」
普段は嘘をつく彼だが、何故かあの時は確実に嘘だと、誰もがわかるレベルだった。
息が荒くなり、顔もどんどんと熱を帯びていく晴明を見て、皆は
(これはやばい……!!)
と、一斉に思ったらしい。
「ちョ、ちョッと師匠、大丈夫?」
星弥が駆け足で晴明の元へ駆け寄ろうとする。
しかし晴明は、それを止めた。
「だ、大丈夫ですッ…から…………んんっ……」
「いや大丈夫じャ無いよね?心音みたいだよ?師匠」
「…はぁぁぁぁぁぁ………」
晴明が深い溜息をつく。
途端、
「早く離れなさいこの馬鹿兄貴!!!!」
自分の鎖骨あたりに左手を、腰に近いところに右手を添え、手に力を入れる。
よく見ると、晴明の美しい袴が、少しだが乱れている。
シャツの襟のボタンは外れ、袴の紐は少し解けている。
それを手早く直す晴明を見ると、嗚呼、慣れているんだろうなと思う。
「んあ?また其の戯れやってるんどすえ?」
三郷が呑気に言う。
周りのものは皆、え、あれ戯れ?てか相手誰?と思っただろう。
「お、三郷。よっ元気してたか?」
突然、男性の声が聞こえる。
落ち着いている、晴明と似ている声。しかし晴明とは違く、何か油断してはいけないような声。
「貴方……どういうつもりだ糞が……」
晴明がまだ顔を赤く染め、殺気混じりに言った。
「なぁに。挨拶だよ挨拶。御前の可愛い顔久しぶりに見たら、したくなったんだよ」
「巫山戯んなよ!?」
弟子達曰く、あんなに取り乱している師匠は初めて見たという。
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クシナデソーマ(プロフ) - 更新終わったでおじゃる (2018年12月31日 12時) (レス) id: cf04d087dd (このIDを非表示/違反報告)
クシナデソーマ(プロフ) - 更新するでおじゃる (2018年12月31日 12時) (レス) id: cf04d087dd (このIDを非表示/違反報告)
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