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お酒の勢いも手伝ってそうして一頻り盛り上がって、その流れのまま和気あいあいとしながら皆一斉に玄関へと向かう。私も行こうかと思ったが、ふと部屋の中の様子を思い出して足が止まった。靴を履いていた先輩が私を見て首を傾げる。

「Aちゃん? 来ないの?」
「あ、はい。私は片付けしとくんで、遠慮しときます」

 皆が帰った後のことを考えると、楽しい時間が終わってしまった部屋で一人片付けをする虚しい時間を過ごすのは嫌だ。それに運動が得意な方でもないし、お腹いっぱいで動く気にもならない。そういうわけでバドミントン大会は断ることにしたのだ。

「えー! なんかごめんね……今度なんか奢るね」
「いや全然! お腹いっぱいなだけなんで大丈夫です」

 気遣いに感謝しつつ踵を返した瞬間、遅れて部屋から出てきた中島くんとぶつかりそうになり急ブレーキをかける。

「うわ、」
「わっ、ご、ごめんね」
「や、俺こそすみません」

 ふわりと香った匂いにときめいて、ふう、と小さく息を吐いた。

「中島は? 来る?」
「すみません、俺もやめときます。酔っ払いの介抱要員で残ります」
「偉いし賢い。頼んだわ」

 先輩は「じゃっ!」と一言そう言うと外へと消えていった。
 玄関には私たちだけが残されて、一気に空気がしんとする。一方、私の耳元では自分の鼓動が煩く鳴り響いていて、突然の幸運に平静を保つのに必死だった。アパートの一室に二人きりとかなんか同棲してるみたい、なんて気持ち悪いことを一瞬でも考えてしまった自分を殴りたい。舞い上がってないで家主として仕事をしなきゃ。とりあえず、無言は気まずいし話しかけてみようかな……?

「えと、中島くん、お酒飲んでなかったんだ」
「あの人たち、限度ってものを知らないから。どうせ後から酔い回って帰ってくるだろうなあって思って、一応だけど」
「ああ……いつもお疲れ様です」

 実際、過去の打ち上げではベロベロになった先輩に中島くんが水を飲ませたり落ち着かせたりしていた記憶がある。こういう些細な気配りができるところも、私が彼に惹かれる理由のひとつだと思う。

*→←今は世界に二人だけ/8



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作品ジャンル:恋愛
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静寂(しじま)(プロフ) - エミさん» 返信遅くなりすみません…!ありがとうございます!最近忙しいのとネタ切れで更新できてませんが更新は続けますので気長にお待ち頂けると嬉しいです! (2022年4月13日 0時) (レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)
エミ(プロフ) - 静寂様の書かれるお話が凄く好きです…これからも更新楽しみにしています〜!☺ (2022年4月2日 0時) (レス) id: a0e3c6c9d5 (このIDを非表示/違反報告)
静寂(しじま)(プロフ) - 咲世さん» コメントありがとうございますー!楽しんで頂ければ幸いです!🙇‍♀️ (2022年2月13日 17時) (レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)
咲世(プロフ) - バレンタインの更新楽しみにしてます! (2022年2月13日 9時) (レス) @page19 id: d952fb547f (このIDを非表示/違反報告)
静寂(しじま)(プロフ) - 千寿さん» まさに表現したかったことが伝わったようで良かったです〜!次回ありましたらぜひまたよろしくお願い致します! (2022年1月29日 18時) (レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:静寂(しじま) | 作成日時:2022年1月21日 0時

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