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総合優勝は白組で、私としゅーさんのいる青組は惜しくも二位だった。悔し涙を流すクラスメイトを横目に、楽しかったしいいか、なんてことをぼんやり考える。来年もあるわけだし。

 結果を受けての様々な感想が聞こえる中、体育館から人波が引いていく。人混みは嫌いなので勢いが落ち着いてから出ようと待っていると「Aさんですよね?」と後ろから声をかけられた。

「え? あっはい、そうですけど」

 振り返った先にいたのはどこか見覚えのある男子。思い出した、しゅーさんの部活の後輩だ。私と同じ二年生で、名前は……なんだっけ。
 体育祭後という状況的に彼が何を言いに来たのか察してしまいながらもまさかという気持ちもあり、そんな私の心の整理がつく前に彼は再び口を開いた。

「その、はっ、ハチマキ、交換してくれませんか、俺と……」

 まさか。予想は的中してしまった。こんなの告白と同義だ。私との恋を叶えたいということなのだから。
 気持ちはありがたいが、私の着けているハチマキはあいにく私のものではないし、そもそもしゅーさんという彼氏がいるので断らざるを得ない。

「えっと……気持ちは嬉しいんだけど、ごめんこれその、私のじゃな」
「悪いけど、俺の(・・)だから君にはあげれないよ」
「え」

 どこから現れたのか、しゅーさんが私たちの横に立っていた。

「しゅーさん!?」
「秀先輩? どういう意味ですか」
「そのままの意味だけど」
「……そっか、そうだったんですね」

 そう呟いて俯く彼は、よく見ると自分のハチマキをぎゅっと握りしめている。私は何も悪いことはしていないはずだけれど、少しだけ胸が痛んだ。

「すみません呼び止めて。それじゃ」

 彼はぺこりと頭を下げるとすぐに走っていき、あっという間に体育館を出る集団に紛れてしまった。

「いやー先に交換しといてよかったなあ」
「しゅーさん、こうなるってわかっててやったの?」
「部活中にさ、あいつがAちゃんとハチマキ交換するつもりって同じ学年の奴らと話してるの聞いたんよね」

 でちょっとムカついたから先回りしたわ、としゅーさんは笑う。先程の彼には気の毒だけれど、しゅーさんの独占欲が垣間見えた気がして嬉しかった。柔らかくて優しそうな声の持ち主で、実際私には優しいしゅーさんにそんな部分があると知ったら、そんなのドキドキしてしまうに決まっている。

「しゅーさん。これ、返すのやめるね」
「いいけど、なんで?」
「ドキドキ記念」

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作品ジャンル:恋愛
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静寂(しじま)(プロフ) - エミさん» 返信遅くなりすみません…!ありがとうございます!最近忙しいのとネタ切れで更新できてませんが更新は続けますので気長にお待ち頂けると嬉しいです! (2022年4月13日 0時) (レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)
エミ(プロフ) - 静寂様の書かれるお話が凄く好きです…これからも更新楽しみにしています〜!☺ (2022年4月2日 0時) (レス) id: a0e3c6c9d5 (このIDを非表示/違反報告)
静寂(しじま)(プロフ) - 咲世さん» コメントありがとうございますー!楽しんで頂ければ幸いです!🙇‍♀️ (2022年2月13日 17時) (レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)
咲世(プロフ) - バレンタインの更新楽しみにしてます! (2022年2月13日 9時) (レス) @page19 id: d952fb547f (このIDを非表示/違反報告)
静寂(しじま)(プロフ) - 千寿さん» まさに表現したかったことが伝わったようで良かったです〜!次回ありましたらぜひまたよろしくお願い致します! (2022年1月29日 18時) (レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:静寂(しじま) | 作成日時:2022年1月21日 0時

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