部外者/蘭 ページ11
「どう？」
そう言って小首を傾げるA。正直何着てても可愛いけど、求められてるのはそういうのじゃないってわかってるから、ちゃんと感想を伝えてやる。
「お、良い良いめっちゃ良い。あー、でもなー、それにするんだったらさっきのスカートの方がいいかも」
「あーなるほど！ さっすが蘭ちゃんセンスあるわー」
Aはシャッとカーテンを閉め、また試着室の中へと篭った。今ごろ俺の提案に従い、最初に着たスカートを合わせていることだろう。
残された俺は壁に寄りかかり、足元に視線を落とす。一人になると冷静になってくるもので、『何してんだろう俺』と疑問が脳裏を掠めた。
Aに振られたのは半年前のことだった。付き合って2年と少し。まだまだ楽しい恋愛ができると思っていたのだが、彼女にとってはそうではなかったらしい。理由を聞いても「蘭ちゃんは悪くないよ。私が悪いの」とそれだけしか教えてくれなかった。いずれにしろ俺から気持ちが離れてしまったことだけは事実だった。
もちろん納得できなかったし、したくもなかったから、せめてもの選択としてこれからも友達でいてほしいとお願いをした。
そして今に至る。
好きな女の子が他の男のために着る服を、頭からつま先まで俺の好みで染めてやっている。相手の男がどう思うかなんて知ったことではない。いっそデートなんか大失敗して、『やっぱり蘭ちゃんがいい』と言って戻ってきてくれればいいのに。
「蘭ちゃん？」
ハッと現実に引き戻された。試着室の床の上、同じくらいの高さになった瞳が俺を覗き込んでいる。
「あぁ、ごめん」
「ねえ、寝てた？」
「や、考え事してた」
「ほんとかなあ？ 今回の人、3高揃ってる上にイケメンって言ったでしょ。ほんと絶対失敗できないんだよ！」
「わかってる。てか3高て。ちょっと古いなー」
「うるさいなー！ ……まあいいや。で、これどう？ 蘭ちゃんの言う通りやっぱこっちな気がしてきた」
その場でくるりと一周して、スカートの裾がひらひらと揺れた。何から何まで完璧で文句のつけ所なんて一つもないのに、それが返ってもどかしい。
「うん、そっちの方がいいわ」
「ほんと？ かわいい？」
敢えて言わないでおいたのに、そんな顔で言われたら仕方がない。
「……うん、かわいい」
おまえは本当に可愛いよ。できれば誰にも渡したくないくらい。
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静寂(しじま)(プロフ) - エミさん» 返信遅くなりすみません…！ありがとうございます！最近忙しいのとネタ切れで更新できてませんが更新は続けますので気長にお待ち頂けると嬉しいです！ (2022年4月13日 0時) (
レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)
エミ(プロフ) - 静寂様の書かれるお話が凄く好きです…これからも更新楽しみにしています〜！☺ (2022年4月2日 0時) (レス) id: a0e3c6c9d5 (このIDを非表示/違反報告)
静寂(しじま)(プロフ) - 咲世さん» コメントありがとうございますー！楽しんで頂ければ幸いです！🙇♀️ (2022年2月13日 17時) (レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)
咲世(プロフ) - バレンタインの更新楽しみにしてます！ (2022年2月13日 9時) (レス) @page19 id: d952fb547f (このIDを非表示/違反報告)
静寂(しじま)(プロフ) - 千寿さん» まさに表現したかったことが伝わったようで良かったです〜！次回ありましたらぜひまたよろしくお願い致します！ (2022年1月29日 18時) (レス) id: 8344300b59 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：静寂(しじま) | 作成日時：2022年1月21日 0時
