【まふまふ】独り占め。Season2【歌い手】 (ページ6)

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独占欲 44 天月サイドページ6

指定時間ちょっと前に集まればいいかな？っていう考えでのろのろと準備を終え、腕時計を除くとちょうど五分前。ファミレスの前に立っていた俺は蒸し暑い外気から立ち去るように店内に足を進めた。

Aの事だから俺よりは先に来ているだろう。

店員さん以外ほとんどの人が座っている状態だったから、キョロキョロと見渡せば案外早くAは見つかって、遠くにいるのに気づくなんて相当やられてるなぁ。なんてふっと自分を鼻で笑う。

そんな俺の心情なんてつゆ知らず、Aは何やら下を向いていると思えばパフェの容器に残るクリームをぱくりと食べていた。

「…早くない？」

『あ！やっと来た！』

パフェに夢中になっているAに近づいて声を掛けるとびっくりしたのかばっと顔を上げる。そして俺と目が合うと、ああ、翔太か。みたいな安心した顔をする。それに俺を見て安心してくれたのかな。なんてちょっとだけ嬉しくなったのは内緒。

その後すぐ、奏もやってきて少し腹ごしらえをしていこう。そうなって俺はメニューを見ながら、これがいいなんて楽しそうに喋るAに意地悪する。少しからかうと子供みたいに無邪気に反撃する感じがたまらなく可愛くてもっとしたくなる。だけどこれ以上やったら拗ねちゃうから。

テーブルに備え付けられたボタンを押して店員さんを待っていた。

その時だった。

俺の嫌いなアイツが制服姿で女子と歩いているところを、手を繋いでいるのを…窓越しから見える景色と共に見てしまった。

見たくないものを見てしまった。Aに見せたくない光景をAのいる時に行われている。そんな無惨な光景に思わず思考が止まって目を疑ってしまう。

視界の端で見えたAは俺を不思議そうに首を傾げて見つめ、俺が向いている方に頭を動かそうとした、その刹那、奏の言葉で動きが留まった。

…奏は多分すべて気づいてる。