標的136 転ける ページ41
「Aがしないのはわかってるけど‥‥君、校舎をを傷つけたら咬み殺すよ」
ネットフェンスに背預ける恭弥。
「黙れ小僧、俺に指図するな」
大包平を抱っこして応接室に帰った辺りから、なんだか大包平に対するあたりの強さが増したような気がするが‥‥今は戦闘に集中だ。
『おいで三日月』
兄弟である鶯丸だと大包平は本気を出せないだろう。謎に天下五剣の肩書に執着を持っているようだから、一昨日刀を交えた三日月を振るう事にした。
フワァ‥‥。
足元に寄ってきた三日月に優しく頭を撫で、刀に戻した。しっかりと太刀緒を腰に付け、刀を抜く、大包平も人型に戻って刀を抜いた。
大包平の殺気が頬にピリピリと痛む。
『‥‥こい』
私の合図で勢いよく走り出した。
キィン‼
キィンッキィンッキィンッ‼
激しく鳴り止まない金属音。
私に隙を与えないよう何度も攻撃を仕掛けてくる。
‥‥体幹のブレが昨日より少なくなっている。さては昨日は、鍛錬でもしていたのか。短刀達との鬼ごっこも動きに生かされている、流石刀剣男士、武を極めた何百年もの人間達の手から精錬されただけある。
だが‥‥。
『力が軽い‼刀と腕の力を均等に加えろッ‼』
ガキンッ‼
「ぐうッ‥‥!」
今の衝撃で後退した大包平の体は、全体的に少し軽い痙攣を起こしていた。
スクアーロの技の一つである
『そんな剣技じゃ私を殺すなど夢のまた夢だ』
「ならば、コレでどうだ‼」
ブンッ‼
彼は今日最大の切りを出したが、すぐさまバック転で躱した。
「ハァ‥‥ハァ‥‥」
‥‥疲労しているな。
『‥‥今日はここまでだ』
「何⁉まだやれ」
『それ以上動いたら腱が切れる。私に手入れされたいのか?』
刀剣男士達は人以上の力を持つが、彼らの本来の姿は刀。生物のように傷の修復能力が無い。私が修理して直さなければならない。
「!‥‥チッ‼」
大包平はすぐに犬の姿に変え、観戦していた鶯丸の近くに近寄り此方に背を向けるように伏せた。
物凄く拗ねているが仕方ない。この後恭弥ともやるのだから余り帰りを遅くするわけには‥‥?
ふと私の足元に黒い何かが落ちていた。拾うとしたら、
『ッ!‥‥』
落ちていたのは私の髪だった。今の攻撃を完璧に避けたつもりが、毛先だけが少し刃を掠めたようだ。
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作者名:☆にゃんロック☆ | 作成日時:2019年3月14日 22時