標的133 大包平、学校へ行く ページ34
今日は久し振り(一日振り)にAと過ごせる上に、放課後戦ってくれる事に僕は喜びを感じていた。
学校を開けていた分、雪崩が起こる程溜まった書類を現在Aと二人で消費している。
だが迷惑な事に彼女の隣で座っている例の赤い犬がさっきから喧しい程に唸り続けている。Aに対してここまであからさまに不機嫌を伝える刀剣はいなかったが、それより珍しかったのは、
「A、如何してその犬にはリード付けてるの?口輪までして」
『下手したらお前を襲いかねない、人に慣れるまで口輪やリードで繋いでる』
そう、あまり見ることのない犬の口輪。しかもリードまでするとなると相当手を焼く者なんだろう。
「貴様‼俺を犬扱いするのか!」
『今お前犬だろう』
「ぐぅ‥‥そうだがっ‼」
Aが偶に動物の彼らと会話している様な所を見たことがあったけど、こう目の前で堂々と話しているとなんだか危ない人にしか見えない。まあAは綺麗だから、“美人が動物と戯れている”と認識されるかもしれないけど。
それにしてもこの犬の鳴き声大きすぎ‥‥。
「ねぇ、何話してるかさっぱりわからないけど、その犬うるさいから外に追い出して‥‥これじゃ仕事が進まないよ」
『そうだな‥‥鶯丸、三日月、大包平を外へ連れてってくれないか?』
「ああ、任せておけ、行くぞ大包平」
「ははは、では此処ら一帯の紹介でもするか」
鶯丸、三日月宗近はリードで大包平を引きながら応接室を出た。彼等の後ろをAは心配そうに見ていた。
‥‥少し言い過ぎたかな。
謝ろうと口を開いた時、
『やっぱり、尊大で勝気な大包平にはベルジアン・グローネンダールの姿になって貰って良かった‥‥!口輪を着けなくてもよくなったら、いっぱいもふもふしたい‼』
表情はうっとりと蜂蜜の様に蕩け、近くにあったソファのクッションをギュッと抱きしめるA。
‥‥忘れてた。彼女が大の動物好きであるのを。
でもまあ、そこまで心配してないなら‥‥問題無いんだろうね。
暫く彼女の可愛い仕草を見ていると不意に彼女と目が合った。Aはピタッと機械の様に止まると、急に顔を真っ赤にした。
『‥‥すまない、つい‥‥はしゃいでしまった』
そう言って口元をクッションで隠すAは写真を撮りたいくらい可愛かった。
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作者名:☆にゃんロック☆ | 作成日時:2019年3月14日 22時