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標的130 主の遊戯 ページ31

“私を殺しにかかる奴は私自らの手で‥‥お前を殺す”

目の前で座る女の言葉は、信じられん程嘘偽りは無かった。

「主の言う通りだ。ここで刀を抜くのを許されているのは、お前のような刀剣男士を守る為だけだ。もし破れば俺は元の刀に戻される」

どう言う事だ?自身を守らなければ劇薬を飲まされたり、刀を折られるのならばわかる。だが何故俺を守る?

『‥‥理解出来ないだろう、生憎お前を納得させる程の言葉は出せない。だが‥‥』





ダッ‼




突然女は立ち上がり、たった一蹴りで俺の懐まで入り込んだ。





俺の一瞬の動揺を見逃す事なく、女は刀を抜いた。




ガキ───ンッ‥‥‼





咄嗟の防御でなんとか躱せだが、あと一歩でも遅かったら俺の心臓はあの刀に刺されるとこだった。

まだ全てとはいかないが、これだけはわかった。俺を顕現した直後、この女を殺そうとしたがあれは避けなかったのでは無い、俺の刃が頭に触れる瞬間に今のような動きで躱し、俺の首を斬るつもりだったのだ。

だがもう次の動きは通じんぞ、次はどう出てくる?

女から目を離さず刀を構える。すると‥‥。





キンッ‥‥。





鯉口を斬る音が聞こえた。




「なっ⁈」

なんと女は刀を納めた。

『一つ遊戯(ゲーム)をしないか?』

「‥‥げえむ?」

***
『おはよう、皆んな』

「おはようございます‼主、本日この長谷部が丹精込めて作りました。卵焼きで御座います。‥‥味見‥‥して頂けませんか?」

食事当番は特に決めていないが、大抵燭台切、歌仙、長谷部の三振は自ら率先して料理を作ってくれる。

『ありがとう、長谷部‥‥うん‼以前よりとても美味い‼また腕を上げたな』

「有り難きお言葉」


バンッ‼




「でぇりゃあっ‼」




突然襖が開き、大包平が刀を手にして私に襲い掛かってきた。




『ん』





箸を咥え両手で膳を持ち、その場に高く飛び刃から逃れた。

だがその所為で大包平はまだ不慣れな身体が言うことを聞かず、片脚でバランスを取ろうとしたが、縁側で足を滑らせて、庭で盛大にずっこけた。

「ごふっ‼」

湯呑みと味噌汁は長谷部が咄嗟に取ったお陰で畳が汚れずに済んだな。

それにここが池のある西の間じゃなくてよかったな‥‥あそこなら確実に飛び込んでいただろう。

長谷部から湯呑みを受け取り、緑茶をそっと啜った。

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作者名:☆にゃんロック☆ | 作成日時:2019年3月14日 22時

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