標的125 冷静さが欠けると人っていつもと違うのは本当だった ページ24
「‥‥A」
『っ〜‼』
聴き慣れている筈の彼の声で、私の名を呼び、私の耳元で囁かれる。それだけの事なのに今私の身体はもう我慢の限界だった。
「ちょ主⁈どこ行くの‼勝手に一人で行かないでよ‥‥って早っ⁉」
さっきまでフラついていた身体は何処へやら、私は一目散に部屋から出た。
『み、水か何か探してくる‼』
‥‥なにをしてるんたんだ私‼女の私が男に、恭弥に不用意に抱きつくなんて‼しかもあいつさっき目を丸くしてた気がするから絶対顔まで見られたに違いない‼
走る度風が頬を撫でるのに、熱は一向に治らない、それどころか心臓はバクバクと激しく鼓動を鳴らす。この鼓動は走っているからなのか、それとも別のものなのかはわからない。
普段仏頂面で戦闘の時ぐらいしか笑わない彼が、あんな顔するなんて‥‥。
そして私はあり得ない事を考えてしまった。
‥‥恭弥って‥‥あんなにカッコ良かった？
***
「待って主‼俺も一緒に行くから‼」
リングを持っておらずとも丸腰状態で行くのはかなり不味い。そんな当たり前の事さえ気づかないほど今の彼女には落ち着きが無かったのだろう。
「‥‥」
Aと加州の居なくなった部屋はとても静かだった。僕の腕はまるで誰かを抱きしめようとする所まで上げていたが、その静かさと共に動きが止まっていた。
「逃げられちゃったね」
「どんまい、雲雀恭弥くん」
「ったく、男ならもっとドーン！とやれよ」
後ろで口々に言う大和守達に少しのイラつきを覚えただが、勝手に動くとAに怒られるので腹の底に抑え込んだ。
***
水を届けに来た頃には落ち着いて来た。無事彼の怪我の手当ても終えたので校舎内を歩き回ることにした。
『‥‥なんだアレは？』
グラウンドの見える廊下の辺りまで行くとその真ん中には氷の様な物に凍らされたXANXUSがリングから灯る炎で溶かされていた。そして奴の目の前に居るツナの身体はボロボロで地面にうつ伏せの状態になっていた。
その二人以外にチェルベッロ、獄寺くん達、ヴァイパーとベルフェゴールも居た。みんなはただその様子を見ているだけだった。
一体どう言う状況なんだ。あの様子だとツナはもう動けないだろう、早く行かないとやられるかもしれない。あの中では一番厄介なのはベルフェゴールか‥‥。
「‥‥先行ってくる」
それだけ言って恭弥は急に走り出し私達も後を追いかけた。
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作者名：☆にゃんロック☆ | 作成日時：2019年3月14日 22時
