黒く美しい少女は“ヴァリアー編Secondo” (ページ17)

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標的121 天才王子ページ17

まるであの時の猛炎に放り込まれたかのような、燃えるような痛みが身体中を襲う。

『はっ‥‥っ‥‥ハア、‥‥ハア』

無理に身体を動かすと更に痛みが増し、仰向けに転んだ。

『うぐッ‥‥ああ‼』

「ありゃりゃ‥‥スゲー格好だな」

目を開けると金髪の髪が目に入った。嵐の守護者ベルフェゴール、切り裂き王子(プリンス・ザ・リッパー)の異名を持ち、本物の王族の血が流れていると聞いたことがある。そして戦闘においてヴァリアーの中で最も才能に溢れた者であることも。

1番厄介な奴がきたな‥‥。

彼は独特な笑い方でこちらに近寄ってくる。私の顔を覗き込むように身体を屈んだ。

「うっしし、黒の処刑人様が随分と洒落た格好だな、リング取ってきてやろうか？」

『ッ‥‥こ、んなの‥‥自分でっあああああッ‼』

激しい痛みに抗い側に落ちた刀に手を伸ばそうとしたら、彼は私よりも先に刀を奪って窓から外に投げ捨てた。

此奴‥‥よくも‼

「無駄だって、この戦いはボスが勝つんだから結果は一緒じゃん。でもこんな美人なジャッポーネの女なかなか居ないから、消すの勿体無いよな～うっしし」

ベルフェゴールは私の髪を一房掬いキスした。すると私とベルフェゴールの間に銀色の物が飛んできて、彼は素早く後方へ体を引く。

「やあ、また会ったね天才君」

全身刃物の斬り傷でいっぱいの恭弥が向かいの廊下に立っていた。

「うっわ〰〰せっかくイイトコだったのに」

どこが‼私は全く良くない‼

「さっさとその手離しなよ。君、相当僕に咬み殺されたいようだね‥‥」

恭弥はトンファーに仕込まれた棘と玉鎖を出した。かなり本気で殺す気だ。

「さっき言っただろ？これは集団戦だって」

ベルフェゴールは指をクイっと上げると、私の身体は宙に浮いたのだ。

『あっ⁉』

突然の事に驚き私は無我夢中に抵抗しても身体が言うことを聞いてくれない。

ベルフェゴールは浮いた私を肩に担ぐと謎の浮遊感は消えた。

「本当はお姫様抱っこしてやりたいけど、それで勘弁して‥‥ね♡」

っ‥‥此奴私の尻をワザと触っているのか？

『や‼‥‥ハア‥‥めっ‥‥』

私の嫌がる叫びに応えるかのように、恭弥は勢いよくベルフェゴールのところまで突っ走るが、彼は窓へ飛び込んで逃げたのだ。私と指輪を取って逃げる気だ。

ベルフェゴールの行動に恭弥も窓へ飛び出し、懐から取り出したモノを私に投げつけた。