黒く美しい少女は“ヴァリアー編Secondo” (ページ1)

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標的109 黒崎の謎ページ1

その後骸の強力な幻覚のお陰でクロームの内臓は機能していた。

クロームは床で赤子のようにスヤスヤと眠っていた。

「こいつすぐくたびれるびょん、これだから人間は‥‥」

てめーも人間だろ‼

とツッコンでいたら犬と千種はクロームを置いてそのまま帰ろうとした。

「ちょ、この娘放置ですか⁉」

犬が言うには彼女は骸では無いからクロームをもてはやす気は無いとのこと。それでも女の子を放ったらかしにして帰るのは酷いのではと思った。

『私が連れて帰ろう』

「Aさん‼」

すると先程獄寺君を叩いた男の人はクロームを横抱きした。

「病院に連れてけばディーノがいるからそいつに任せとけ」

『わかった。太郎、次郎、頼んだぞ』

太郎と次郎と呼ばれる人達はクロームを連れて出て行ってしまった。

『‥‥気になっているんだろう？穴が空きそうなぐらいだ』

Aさんが残った理由がわかると俺達は何も言えなかった。失礼だなとは思いつつも、やはり人ではないという目でAさんや彼等を見てしまったことに罪悪感を感じている。

『‥‥付喪神って知っているか？』

「確か、物に想いや心が宿る神様だったな」

リボーンの言葉に俺はアッと思い出した。教科書か何かにそんなことが書いていた気がする。

『簡潔に言えばそうなるな。刀剣に宿る付喪神に人の型を与え、従わせることが出来る私は審神者と呼び、そして刀剣から生まれる戦士達を刀剣男士と呼ぶ』

あまりに突飛な話に俺はついていけなかった。でも、骸の能力や死ぬ気の炎のような普通じゃあり得ないものが存在するからそういう類も存在するのかもしれない。

あの時の月の守護者の戦いについて聞こうとするとAさんは右手で二の腕を掴んだ。良く見ると微かに手が震えている、顔色も良くない。

「帰ろう、大将」

その様子を見て体調が良くないと察した信濃君はAに寄り添い手を握った。

信濃君に手を引かれて帰ろうとするので声を掛けようとした途端、白髪の綺麗な青年が刀を握り行く手を阻んだ。その目は確実に殺意のある目だ。

それはまるで、これ以上聞けば命は無いとでも言いたげだった。