不撓不屈 ページ4
目の前で上弦の壱とAが鍛錬を始めた。
あの上弦は今は俺に敵意を向けては居ないだろう。
Aにだってよっぽどのことが
無い限り襲いはしなそうだ。
良い意味で捉えると好機でもあるが
危機な状態ともいえる。
Aを連れて逃げると言ったって
彼女自身が一緒に来てくれるかという問題がある。
あと此処が何処かも分からない。
黒「お前も…
一緒にどうだ…?」
俺は大人しく付き合うことにした。
今の俺では勝てっこない。
普段の俺だったらそれでも挑んでいたが
今はAを助けることが目的だ。
変に敵意を持たれても
自分の首を絞めるだけ。
奴は一応上弦の中でも最も強いのだろう。
その奴と鍛錬をすることで
俺自身も認めたくはないが強くはなれる。
今、するべきことはこれしかないと思った。
伊「上弦の壱は必ず倒す…。」
俺はそう誰も聞こえないような声で呟いた。
その本人に聞こえているとも知らずに。
っ、辛い…。
何なんだこの鍛錬は。
鬼になってもこれ程苦しい。
隣にいるAはそれなのに
全然平気そうだ。
『お前は何をやっていたのだ。
最近の鬼殺隊は駄目駄目だ、お前柱だっただろ?
十二鬼月でもない私でも出来るのだ。
普段はもっと激しいものをしている。
このままでは全然駄目ではないか…。 』
Aは俺の継子だ。
なのに今は圧倒的に彼女の方が強くなっている。
俺だってずっとAの為に鍛錬に励んできた。
それなのに何故、結果が出ない…。
Aは丁寧に俺に剣術を教えた。
まるで立場が逆になったようだ。
いや、もう逆になったと言っていい。
まるであの時に似ている。
Aが全然、蛇の呼吸を使えなかったのに
使えるようになったあの時。
使えるようになったと言っても
俺が見たのが初めてなだけだった。
まさか使えるようになったとは思っていなかった。
俺もAには今は負けているが
もっと努力しろ。
努力なんていくらしても必ず
上はいるのだから。
黒「楽しみに待っている…。」
俺の耳元でそう微かに言った。
そして上弦の壱は俺を
Aに任せ、一人で更に激しい鍛錬を始めた。
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作者名:胡蝶菫 | 作成日時:2021年4月16日 4時