夏の大三角関係【歌い手】 (ページ6)

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過去と現在ページ6

「久しぶり…だね、真冬君！」

私が席に付けば、此方に顔を向ける真冬君の綺麗な顔にドギマギしながらも相手がどんな反応を返すのかを心待にしていた。

驚くのか、はたまた喜んでくれるのか。

期待で胸が膨らんで＿＿＿というより、好きな人に久しぶりに会えたという喜びで私の内心は正にお花畑状態だった。

「……僕の邪魔をしに来たの？」

思いもしてなかった言葉に間抜けな声が出る。

＿＿＿え？？

私の片想いの相手は可愛らしい小さな顔を酷く歪めて私の事を強く睨みつけている。眉間に皺が寄り、大きく綺麗な瞳は怒りを含んだかのように鋭く光っていた。

「邪魔を、しに来た……って？」

疑問に思った事を口に出せば、真冬君は大きく分かりやすく溜め息を付いて、目線を私から机へと落とした。

「……この男たらしが」

私の質問には答えず、＿＿＿私に言っているのだろうか＿＿＿真冬君は「男たらし」という言葉を吐いた。

訳が分からない。

私は真冬君達が引っ越してからも、中学生になってもずっと真冬君が好きだった。告白も数回あったけど、全部断ってきたのに。

＿＿＿6年近くの恋、と言えば気持ち悪く、重く感じるが私はそれほど真冬君が好きだったのに。

一時期諦めようともした。

それでも私に近寄ってくる人全員を真冬君と重ねてしまい、私は真冬君の変わりを作ろうとしてるんだ、と分かった時は自分が憎くて仕方無かった。
諦めようにも諦めれなかった。

真冬君は、私をからかっているのだろうか。
それにしては、目が本気だった。

さっきまで、好きな人と隣だ、なんてはしゃいでいた自分が馬鹿らしく思えた。

もしかしたら、真冬君は昔から私の事が嫌いだったのかな、なんて考えると先程治まった涙がまた溢れてきそうだった。