検索窓
今日:59 hit、昨日:11 hit、合計:43,471 hit

97話 ページ48

巳弥「ずっと昔の春、私は桜並木の木の上で花見をしていたんだ。気がつくと下で人の子が書物を読んでいた。満開の花は私の妖力(ちから)を強くして、浮かれた私は桜に隠れたまま彼に話しかけたんだ。なれば八坂といい、体が弱いのだが、名家の跡取りで自由になる時間もほとんどないのだと言っていた。異形であるこの顔を見せて脅かしてやるつもりだったが、彼があまりに楽しそうに話すから私はその機会を失った・・・そして、妙なことに、翌日も彼はやって来た。彼は私が妖だと気づきもせずに通ってきては話をした。私は妖だと気付かれるのが恐くなった。だから、身を隠す桜のない時期はあの並木へは行かなかった。私たちは、花の季節にだけ語らうともとなったのだ」

━━━━━━━━━━━━━━━

「巳弥、私はいつか自由になれたら気ままに旅をしてみたいんです」

「色んな地の美しい草花を見てまわられたらきっと素敵でしょう」

「あぁ、何故だろう」

「あなたには何故か聞いてもらいたいことがいっぱいあるんです」

━━━━━━━━━━━━━━━

巳弥「・・・そんな春が数度すぎた頃、ある春パタリと彼が来なくなった。待てども待てども次の春もその次の春も・・・私は彼を探し回った。どこを探せばいいのかも分からないまま駆けずり回った。そしてついに、見つけるとが出来たのだ。絵師として有名な妖が冬のあの並木を描いていた絵があると聞いて見に行くと、その絵の中八坂様が居たのだ━━━━━人の世が疎ましくなて絵の中に逃げ込んでしまったのだろう。だから、私はその絵を貰い彼を慰めるため共に旅を始めたのだ━━━━いつの日か彼の心が癒えたらきっと、絵から出てきてくれるだろう。そしてまた再び語らうのだ」

巳弥はそんな話をして今日は帰っていった

『絵の中に入り込んだ人間の八坂様、ねぇ・・・』

98話→←96話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (46 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
256人がお気に入り
設定タグ:夏目友人帳 , 夏目貴志
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

闇黒嶺(プロフ) - みーさん» コメントありがとうございます!好きと言っていただけてとても嬉しいです!これからも頑張るので、どうかお願いします! (2022年3月10日 0時) (レス) id: 493ad3773d (このIDを非表示/違反報告)
みー(プロフ) - この話好きです(*^^*)これからも頑張ってください💪応援してますー🔥 (2022年3月7日 13時) (レス) @page31 id: 91b6b6a73d (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:闇黒嶺 | 作成日時:2021年11月1日 14時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。