悩み事 ページ31
少し前から、尽八が何かに悩んでいることは知っていた。
だけど、何に悩んでいるのか分からなかったからあえて何も言わず見守っていたが、いつもの尽八ならしないような怪我を見ては、これが放って置けるわけもなく。
IH選抜が近くなってきているこの時期に、怪我をされたら、こっちがたまったものでは無い。
「それで?うちの副主将様は何にお悩みで?」
尽八からため息が漏れた
「いや、何。大したことでは無いよ」
「尽八の大したことないは大したことだって知ってる。まぁ、私に話しづらいなら、私にじゃなくてもいいけどさ?誰かに相談しなよ?」
マネージャーである私にはきっと、選手の悩みなんて分かりっこない。
分かりきっていたことだけれど、悔しくて堪らなかった。
私では力不足だ。と頼りにならない。と言われている気分になる。
「A、話を聞いてくれるか?」
尽八は下を向いたまま言葉を発した
「私で良ければ、いくらでも」
「しかし、これ以上ほかの選手に使うべき時間を俺に割いてもらうのも悪いな!俺の足が治ったら、また一緒に登りに行こう!その時に頼む。」
いつも通り…とはいかないものの少し明るくなった尽八のその言葉に頷く。
「じゃあ、私は練習に戻るけど怪我した足でも出来る練習メニュー教えるから、尽八もゆっくりでいいからおいで〜?」
「あぁ。すまんな」
「これが仕事ですから」
私は尽八に笑いかけて練習へと戻る。
「遅かったジャナイ」
靖友に声をかけられた。
流石は幼馴染と言うべきか。
私は表情一つ変えたつもりは無いのに
「ごめんね〜?靖友の練習も見てあげるからさ?」
「オレじゃなくて、困ってる1年どうにかしてやった方がいいんジャナイ?」
「じゃあ、先に1年生のとこ行って、その後靖友ね〜?もうすぐ合宿だし〜?」
「ゲッ…」
「楽しみだね〜?合宿」
語尾に音符が着いてそうなテンションで言ってやる。
いや、実際ついてるものは真っ黒なハートだろう。
靖友が心配している。もちろん、靖友だけではない。
福ちゃんも新開も表に出さないにしても心配していることは知ってる。
本当、よく見てるよね〜
多分、他の人達なんて気付いてないよ?
あのお調子者で悩みなんて無さそうな尽八が、人1倍色んなところで悩んでることなんて。
「大丈夫だよ。靖友」
そう笑えば
「そうかヨ。…頼むネ」
靖友は優しい顔をする
そんな靖友に背を向け、私は微笑みながら一年生の元へと向かう。
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よしはる(プロフ) - アイカさん» ありがとうございます!楽しみにしていて下さる方がいらっしゃると分かりとても有難い気持ちになると共にこれからも更新を頑張ろうと思えます。更新頑張りますので、これからもどうぞ宜しくお願いします! (2017年9月13日 23時) (レス) id: 102fc0cc39 (このIDを非表示/違反報告)
アイカ - いつも楽しみに読まさしてもらっています。これからも頑張って下さい。 (2017年9月12日 17時) (レス) id: aaa91fe88c (このIDを非表示/違反報告)
よしはる(プロフ) - 夜実さん» ありがとうございます!これからも面白いと思っていただけるように頑張って行きたいと思います! (2017年3月25日 1時) (レス) id: 598fa7bcac (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 面白いですね!これからも頑張ってください! (2017年3月23日 22時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よしはる | 作成日時:2016年9月25日 6時