箱学の頭 ページ49
私の本質は、目…。
結人先輩の言う通り、私は選手ではなくマネージャーだ。
「Aは、一度見た選手の走りって覚えてるか?」
「覚えてますよ」
「だとしたら、お前のは目と言うより、脳なのかもな。」
有が首を傾げる
いや、はっきり言おう。私も何言ってるか分かんない。
「二人して何言ってんだ。みたいな顔するなよ」
そう言いながら可笑しそうに笑う結人先輩
「脳ってどういう意味ですか」
「普通、1度見た走りを覚えてることはほぼ不可能に近い。総北の巻島みたいな特殊な走りじゃなきゃな。だが、特殊じゃないからと言ってみんながみんな同じ走りな訳じゃない。それを覚えてるって言うんだから。Aには、1人1人の走りが全く違って見えてるって事だ。それは、単に走り方を目に焼き付けてるって訳じゃない。Aは走りを見てそいつの癖なんかも見抜いてるわけだ。」
「それを、識別してるのは脳だから…!」
「そういう事。そして、そういう癖ってのは一朝一夕で治るもんじゃない。つまり、Aの強みって言うのは、そのデータ処理能力だ。事実俺らもそれに助けられてた節はあるしな。自分でも気づいてるだろ?」
「まぁ。でも、それがなんだって言うんですか?他の学校にだって、研究してる奴はいるでしょう。」
「そう。問題はそこだ。単刀直入に聞く。Aはどれ位の1年のデータを持ってる?」
「経験者であれば、おそらく全員。特に強豪だったり、箱学を脅かす高校であれば素人も含めほぼ全員」
「その情報はどこで仕入れる」
「どこって、経験者は大会に行けばいくらでもデータが取れます。」
「あぁ、その通りだ。だが、ほぼ素人のデータは?」
「強豪と言われる高校であれば、知り合いが何人かいます。有にも手伝ってもらって軽い情報を聞き出し、中でも伸びそうな奴は直接見に行きます。」
「なら、お前以外に1年を合わせてそれだけの情報を持ってるやつが何人いると思う?」
「……1人?」
有がそう呟くが…
「いや、0だ。」
そりゃ、そうだ。
IHに出た奴なら一緒に走れば大体どんな奴か分かるだろう。
つまり、2、3年であればデータは揃う。
だが、1年となればなかなか情報を持ってるやつはいないだろう。
「それが、どれだけウチを有利にしてるか分かるよな?」
「はい。」
「言うなれば、A。お前がウチの…この箱学の頭なんだよ。だから、って訳じゃないけどよ。恐らく、5年後には箱学はおちるぞ」
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よしはる(プロフ) - アイカさん» ありがとうございます!楽しみにしていて下さる方がいらっしゃると分かりとても有難い気持ちになると共にこれからも更新を頑張ろうと思えます。更新頑張りますので、これからもどうぞ宜しくお願いします! (2017年9月13日 23時) (レス) id: 102fc0cc39 (このIDを非表示/違反報告)
アイカ - いつも楽しみに読まさしてもらっています。これからも頑張って下さい。 (2017年9月12日 17時) (レス) id: aaa91fe88c (このIDを非表示/違反報告)
よしはる(プロフ) - 夜実さん» ありがとうございます!これからも面白いと思っていただけるように頑張って行きたいと思います! (2017年3月25日 1時) (レス) id: 598fa7bcac (このIDを非表示/違反報告)
夜実 - 面白いですね!これからも頑張ってください! (2017年3月23日 22時) (レス) id: 180bd39056 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:よしはる | 作成日時:2016年9月25日 6時