51：不敵な円舞曲 ページ6
*
Zm｢よっ､来たでー｣
総統に呼び出されてはや数分｡ゾムが天井のダクトから頭だけを覗かせてやって来た｡
Zm｢あれ､アンタも呼ばれたん？｣
『いや､元々ここに居た』
ふーん､と適当に聞き流して降りてきた彼だったが､何を思い出したのか急に目を輝かせ､俺に近付いた｡
Zm｢な､なぁｯ！もしかしてｯ──｣
Rb｢あー､急にきて吃驚したわ｣
ゾムの上擦って吃った声は､呼び出されたもう一人によって遮られる｡だがこの反応からしてどうやら彼は気付いたらしい｡
Gr｢よし､役者は揃ったな｣
先程まで饒舌気味だった総統が何時の間にか落ち着いた声で話し出す｡
Rb｢そういえば､俺らはなんで呼ばれたん？｣
辺りが静寂に包まれる｡まさか､この面子を見ても気が付かないとは｡この発言に総統とゾムは予想外だったのか､真顔のまま硬直した｡
俺はひとつ咳払いをし､疑問符を浮かべるロボロに総統が言うべき御言葉を代弁する｡
『
Rb｢……あ､ホンマや｣
何と言うべきか……本当に復活しても大丈夫だろうか｡
一抹の不安が拭いきれないまま､今の出来事は無かったかのように総統が話を進めた｡
Gr｢君たちには通常の戦闘態勢ではなく､特殊任務を遂行してもらう｡かなり前に組んだ､特殊工作班の復活だ｣
特殊工作班｡その名の通り工作を行うが､人員はたったの三名｡俺ことクリア､ゾム､ロボロで構成される｡
工作班とはいえロボロは陣地で殿に務めている為､動けるのは俺とゾムの二人だけ｡つまり､彼とツーマンセルを組んで行動し､隠密に動かなければならなかった｡
以前､何処ぞの国でこの体制を採り工作を行った際､中々の苦労を味わった記憶がある｡
Zm｢俺はてっきり､空中分解したんかと思った｣
Rb｢一人だけで現地に乗り込んどったもんなぁ､そう思うのも無理ないわ｡……そんな過保護なあんさんがまた結集させるとは到底思えん｣
Gr｢ま､ｯまぁ待て､順を追って説明する｣
ぐいぐいとロボロに詰め寄られていく総統を横目に､ゾムの肩を突く｡突いた部分がぴくり､と動いた｡
『良かったな､念願の復活だぞ』
視線をあちこちに彷徨わせ､彼は若干面映ゆそうに口を開いた｡
Zm｢そう言うアンタも､本当は嬉しいんやろ？｣
ちらちらと同じく横目で俺と奴らを忙しく見やる彼に自然と口許が綻ぶ｡笑みを堪えきれず､少々吹き出してしまった｡
『ふふ､まぁな』
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作者名：Youtopia | 作成日時：2021年9月10日 22時
