【d!】総統の右腕に〝副総統〟が居るらしい…… ｰⅡｰ (ページ28)

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73：突撃ページ28

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一歩､また一歩と重い足取りが音も無く近付いて行く｡階段のステップをご丁寧に登っていくその姿は､恰も死を告げる死神達のカウントダウンのように見えるだろう｡

──その原因が遣る瀬無い憂憤ならば､尚更だ｡

Zm｢なぁ､零(ヌル)……アンタはどっちが良い？｣

唯一無二のバディが長い髪の隙間から翡翠の瞳をギラつかせながら俺に訊く｡俺はその問い掛けに透かさず答えた｡

『勿論､俺が殺るさ』

Zm｢ｯﾋﾋ､そう言うと思っとったわ｣

壱(アインス)は口許だけを異様に歪ませながら不敵に笑い､俺より先に目前に立ちはだかるでかでかとした両開き扉の前に佇んだ｡そして､振り返ることなく俺にサインを送る｡

〝上で待機しろ〟

上を見遣ると先程通って来た通風口とは別の通風口のカバーがあった｡手際が宜しいことで､なんて思いつつ､さっさとそれを外して中に滑り込んだ｡

Zm〈俺が護衛共を引き剥がす｡零はタイミング見てさっさと国王の首掻っ斬ってやれ〉

インカム越しに冷酷に言い放たれたその言葉に思わず小さく鼻で嗤ってしまう｡だが､彼にしか言えない心強い言葉に､俺は覚悟を決めた｡

『Roger(了解)』

──

それから数秒後､下から扉を蹴破る音と同時に複数人の響めく声と銃声が入り交じった音が聞こえて来て､急いで謁見室に降り立てるカバーを探す｡虫の如く這い蹲って漸く見つけると､一先ず上から中を窺った｡

Zm｢ｯﾊﾊ､Eyeyyy(へいへい)！！Bring it on men(掛かって来いよ)！！？｣

すぐ下で壱(アインス)が護衛に向けて口汚い言葉を言い放っては煽り散らしながら謁見室内を阿鼻叫喚の渦へと追い遣っており､カバーから窺える範囲内に一瞬だけ姿を現した彼は､既に相棒のサバイバルナイフを片手に暴れ回り､誰の血かも解らない程血塗ろになって恍惚そうな表情を浮かべていた｡

場が完全に彼によって翻弄されている｡

そう確信したところで俺はカバーを蹴破って中へ突入した｡

ﾄﾞｶｯ

Zm ｢ｯﾋﾊﾊﾊ！！遅せェよ､零！｣

『ｯ悪い､待たせたな』

巻き上がる砂塵越しに壱の愉快そうな声がノイズ混じりに耳に届く｡咄嗟にそれだけ言い残し､俺はすぐさま彼とは反対の方向へと走り出した｡

ベストの胸ホルスターからサバイバルナイフを抜き取り､行く手を阻む近衛兵共を薙ぎ倒していく｡

段々と近付いてきた標的に焦点を合わせ､一気に刃を向けた｡

『──動くな』

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