24：修羅場と脅威に制裁を ページ26
*
ｷｭﾙﾙﾙｯ
自身の腹に生じた唐突な生理的空腹感｡
胸ポケットから懐中時計を取り出して見ると､短針が真上を通り越していた｡
『折角だ､一緒に昼飯を摂らないか？』
撫でていた兎たちを小屋へ戻したひとらんらんに昼食の御誘いをする｡
Ht｢良いね､賛成！｣
敢え無く了承され､二人で本棟へと入った｡
──
昼食──それは幹部の憩いの時間であり､修羅場の時間である｡同じく憩いを味わいたい隊員や兵士にとっては傍迷惑でしか無い｡
余談だが､幹部の朝夕食は総統と一緒に摂るシステムのため､遅れるとトントンから竹刀ケツバットか書類増量の罰が下される｡──俺は一度たりとも遅れたことはない……今朝の分を除いて｡
いつもより騒々しい食堂に入ると､地獄の果ての様な光景が目に入る｡周りの隊員達はドン引きしていた｡
コレはまずいと隣で立ち竦む彼に視線を送る｡その一方で彼は顔を引き攣らせて､あぁ最悪､と目で訴えていた｡
？｢おっ､ひとらんとクリアやん！一緒にメシ食おうぜ！｣
さぁ御出座しになった｡この修羅場の主犯者──ゾムは今日も元気に食害行為をさせていた｡
本日の被害者は鬱とコネシマらしく､彼らの目の前に大盛りの定食が溢れんばかりに置かれている｡
『丁重にお断りさせて頂く』
すっとゾムの横を通り抜けようとしたが､がっちりと肩を掴まれてしまった｡
動けない｡
それを見たひとらんらんはサッと青褪め､小刻みに震え出した｡
Zm｢すまんな､聞こえへんかったわ〜！もっかい言ってくれへん？｣
『肩が亜脱臼しそうだ､その手を離して欲しい』
無理矢理引き剥がす為に彼の手首を持ち上げようとしたが､ビクともしない｡
Zm｢ｸﾌﾌｯ､クリアさぁん､ビクともしていませんよォ〜｣
野郎､この俺を煽りやがって｡
俺は奴の懐まで潜り込み背負い投げを決めて地面に叩き付けてやった｡
Zm｢あ痛ァ！？｣
思いっきり叩き付けられたであろう彼は痛みにジタバタと悶えた｡
その姿に自然と口角が上がる｡
『こんな事しとる余裕があるんやったら､今週分の書類はさぞ丁寧で完璧なんやろうなァ､ゾムくぅん？』
Ht｢あ……訛ってる｣
ﾋｯ､と情けない声を出して逃げようとするゾムの胸倉を掴んで問い質す｡
Zm｢ｱｯﾊｲ｣
『おぉそうか､楽しみにしとるぞ』
よし､言質は取った｡俺は掴んでいた手をパッと離し､さっさと空いた席へ向かった｡
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作者名：Youtopia | 作成日時：2020年11月8日 17時
