22：癒し癒される ページ24
*
二列に作られた畝にそれぞれ人参の種と赤茄子の苗を植え終わり､シャワー付きのホースを手に水を撒いていた｡
Ht｢クリア､どう？……うん､良い感じだね｡終わって良いよ｣
畑を俺に託し別作業から帰ってきたひとらんらんは､土の湿り具合いを確認し蛇口を締めた｡
Ht｢ありがとう､めちゃくちゃ助かった｣
伸ばしたホースを巻き戻しながらきちんと返事をする｡
『いや､役に立てたようで何よりだ』
やっと巻き切って顧みると､彼は普段の制帽を外し乱雑に汗を拭っていた｡残念な事に逆光でその表情は窺えない｡
そんな彼はふと思い出したかのように､あっ､と素頓狂な声を出し､俺の方を向いた｡
Ht｢そうそう､つい最近兎を預かったんだけど……見ていく？｣
兎か｡長い耳があり､もふもふの……｡
『……折角なら見て行こう』
彼の素敵な提案により､再び外道丸たちが居る小屋へ向かった｡
──
再び戻ってきた我が主の帰りを喜ぶ外道丸に彼は一声かけ､隣のまだ木の艶が残る小屋の前に屈んだ｡
俺もそれに合わせて隣に屈む｡
Ht｢開けるね〜｣
カチャリ､と小さな扉を開けた音に気付いたのか､もこもこした兎たちが一斉に飛び出て来た｡
つぶらな瞳､ぴょこぴょこと揺れ動く長い耳､何よりもふもふした毛並み──｡
思わず口角が緩んでしまう｡
Ht｢……触っても大丈夫だよ？｣
願望を隠しきれていなかったのか､彼は後押ししてくれた｡
その言葉に甘え､おずおずと兎の背中に触れてみる｡
『ふわふわだ……！』
想像を軽く超越した感触に､思わず詠嘆の声が漏れ出る｡
気付けば触ることが止められなくなり､抱き上げて膝の上まで持ってきてしまっていた｡
いつの間にか彼の膝の上にも兎が乗っている｡
『はー､癒される……』
Ht｢本当にね｡やっぱり生き物って最高！｣
暫く時間の流れを忘れて兎を撫でまくり､ふわふわの感触を満喫した｡
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Youtopia | 作成日時：2020年11月8日 17時
