18：謎めく ページ20
*
ゆっくりと天を仰ぐ｡文句無しの快晴だった｡
私の気分も晴れやかに澄み渡り､目前で柔らかく笑むしんぺい神にも躊躇いなく話せそうだった｡
『エミには言っていなかったんだが､先日すっかり忘れていた過去を思い出した』
Pe｢君の過去か……｣
ふわふわしているとは言えど､根は真面目で人の繊細な部分を察せる彼の眉がピクリと動く｡
『大丈夫だ､無理はしていない』
彼は大丈夫だと聞いたものの､それでも尚心配をしてくれているのか唇をキュッと噛み締め､じっと話を聞いてくれた｡
『神の察しの通り､それで満足に寝ることが出来なかった｡だが､今日はしっかりと眠れると思う』
Pe｢そうやったのか……｣
彼はふっと目を伏せ､念の為にコレ持っていき､と適量分の睡眠薬を取り出した｡
『ありがとう｡……それで､ひとつだけ､どうしても思い出せない謎があったんだ』
Pe｢謎？｣
『あぁ｡まだアイツにも出逢っていない時に､たった一度だけ､本気で死のうと首を斬ろうとした事があったのさ』
その証拠だ､と自らのシャツの襟を掴んで下げる｡
かなり昔の出来事だ｡指でなぞると､痕の様なものが薄らと感じられる｡
Pe｢……｣
『当時､死に対しての恐怖は無かった｡何故かは解るだろう？──だが､斬る事が出来なかった｡
手が全く動かせないまま震えだして｡そこでやっと気が付いたんだ｡死ではない�爐覆砲��瓩�酷く恐ろしかったんだと』
ちらりと彼を窺うが､今までに見た事がない程に眉間を寄せ険しい顔をしていた｡彼に似つかわしくない形相だった｡
視線に気が付き私を見つめる｡
Pe｢……実は､思い当たる節があってなぁ｣
『思い当たる節？』
その言葉を反芻したところで､彼は苦虫を噛み潰したような顔に変化した｡
Pe｢もう一個だけ聞かせて欲しいねんけど､Aちゃんが最後に聞いたご両親の言葉って覚えとる？｣
最後に聞いた両親の言葉……怒声と罵声だった事は今でもハッキリと覚えている｡
しかし､肝心の言葉は一体なんだったか｡
『……覚えていない』
全く思い出せなかった｡
Pe｢ん､ごめんな､答えてくれてありがとう｡
でもお陰でハッキリしたわ､思い当たる節について｣
『お願いだ､教えて欲しい』
きっとなにか思い出せるかもしれない｡私は彼に頭を下げた｡
Pe｢分かった､憶測に過ぎんけどな｡
──あれは確か､俺が君らに同行するようになって直ぐの話やった……｣
*
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 173人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「wrwrd」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Youtopia | 作成日時：2020年11月8日 17時
