よん。 ページ10
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ナポリタンを食べ終わった後、またメニューに目を通していた。
よっぽどお腹空いてたんだなあ。
暫く眺めた後、決めたらしい。顔を上げた。
「……プリン、一つください。」
『プリンおひとつ。』
作り置きのプリンを取りに厨房の冷蔵庫へ。
暖かいお手拭でちょっとだけ温めてひっくり返した。
カラメルも添えて……、よし。
『お待たせ致しました。』
わたしもこの店でかなり好きな方のプリン。
甘すぎなくて、触感もしっかりしていて、物凄く美味しい。
目の前のお客様も、美味しいものを食べた顔だ。
『……今日はよく食べますね。』
「なんか、腹減ってて。」
『良いことだと思います、ここのご飯美味しいので、嬉しいです。』
本当に、自分の事のように嬉しいのだ。
ずっとこの店に勤めてきたのだから、嬉しくないわけがない。
「……また、食いに来ます。コーヒーもいつもうまいし。」
『是非、待ってます。』
「…っす。」
………コーヒーも、美味しいって。
ようやく最近、コーヒーを淹れるのを任せてもらえるようになったのだ。
それを美味しいと、直接。
待ってますだなんて普段は口にしない言葉が零れた。
それから５分くらいだろうか、しとしとと音がする。
窓を見れば、
『………あ、雨。』
通りで今日は少し暗いなと。
「は！？やば、洗濯物…ッ！」
『それは急がないと。』
まだ少し残っていたプリンを急いで食べると、かけてあった上着も持って席を立った。
「ご馳走様ですッ！！」
『気を付けて…。』
ふと、わたしが置き傘にしていたビニール傘が目に入る。
『あ、あの』
わたしが呼び止めると、勢いよく振り返った。
……ちょっとびっくりした。
『これ、良ければ。』
何の変哲もないただのビニール傘を差しだす。
目の前の人はびっくりした顔をして、
「え、良いんすか？」
そう言った。
『……風邪、引いて欲しくないので。』
適当な理由をつけて傘を押し付ける。
「ありがとうございます、有難く借りていきます。」
細くて大きな手が、わたしの手から傘を取った。
『気を付けて。』
あの人が出て行ってから、片づけをする。
『……あれ、これ。』
学生証だ、これは困るのでは……？
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公開ミスで3話を公開していませんでした。
申し訳ありません。
(次回更新時謝罪文消去予定)
続く
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作者名：NPC | 作成日時：2020年4月13日 16時
