さん。 ページ8
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今日は講義もなかったから朝から夕方まで勤務。
居心地は良いし、変なお客さんも来ないから、良い。
まあ平日の昼間なんてそんなに人来ないけど。
からんからん。
『いらっしゃいませ。』
……あれ、こんな時間に珍しい。
「エスプレッソください。」
注文も珍しい。
『…エスプレッソがおひとつ。』
「あ、あとナポリタン…。」
『ナポリタンがおひとつ。』
「以上で。」
『畏まりました、少々お待ちくださいませ。』
そういうと上着を脱いで席に腰かけた、勿論定位置。
わたしは伝票を持って厨房へと下がる。
……ご飯食べるのも、あんまり見たことないかも。
店長に注文を伝え、わたしはエスプレッソを作って持っていく。
彼の前に置けばちみちみと飲み始める。
……よし、仕事しよう。
今朝の残りがあるんだ。
黙々とグラスを磨き、カウンターの花に水をやる。
あ、良い匂いしてきたなあ…。
そう思った矢先、視線が刺さる。
『………あの、なにか。』
「え、あ、えっ…あ、アイスコーヒーください…。」
嗚呼、カップが空だったのか。
『アイスコーヒーがおひとつ。』
カウンター下の冷蔵庫から作り置きのコーヒーを出して注ぐ。
今日は……赤のストローにしよう。
頭を抱えている彼のそばにそっとグラスを置いておいた。
グラスを引き寄せてストローを咥えていた、面白い人だな。
後ろから店長がナポリタンを持ってきた。
……わたしも今日のまかないナポリタンにしよう。
良い匂いに起こされたのか体を起こして一口分、…多くない？
見た目によらず、大口を開けて頬張っていた。
……あ、良い顔。人の美味しそうに食べる顔って良いな。
「……あの、楪さんのおすすめ、なんですか？」
『えっ、わたしの……？』
自分を指差すと彼は頷く。
『………ご飯ならカルボナーラ、スイーツならロールケーキ。』
「じゃ、次それ食べに来ます。」
そういうとまた黙々とナポリタンを頬張り始めた。
……あ、言葉、馴れ馴れしかったかな。
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作者名：NPC | 作成日時：2020年4月13日 16時
