に。 ページ6
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2杯目のコーヒーを出した後、半分くらい一気に飲んでいた。
よっぽど喉乾いてたんだな…。
それからはずっとPCとノートに向かっていた。
ひたすらカタカタとキーボードの音が響く、
時々挟まる紙を捲る音やあの人の唸り声がなんだか耳触りが良かった気がする。
大分空が暗くなってきた頃、店長が試作品だとクッキーをくれた。
結構な量があったのでお客様に配れとのことだろう。
幾つか小皿を取り出して、店内に残っているお客様に配っていった。
ちょうど配り終えて戻ってきたあたりであの人が背伸びをする。
「っあ゛〜〜……。」
『終わりました？』
「ぅお、っはい…。」
……驚かせてしまった。
カウンター越しにクッキーを乗せた小皿を置く。
気持ち多めに、乗せた。
『……お疲れ様です。』
「……え？」
『試作品、なんですって。店長からです。』
ちょうど後ろの厨房に店長が居たから掌で指す。
店長が気のいい笑い方をしたのでお客様も軽く会釈をした。
ずっとPCに向かっていたから疲れていたのだろう、さっそく一つ口に運んでいた。
「……うま。」
『……店長、喜ぶと思います。』
「美味しかったですって伝えといてください。」
『勿論。』
この店が好きだから、自分の事のように嬉しいな。
……顔には出ていないだろうけど。
サクサクと数枚のクッキーを食べ終えて、
残っていた薄くて美味しくないであろうコーヒーもこの人は飲み干した。
………普通、残してく人が多いのに。
「ご馳走様です。」
『ありがとうございます。』
お会計を済ませれば店長が声をかけてきた。
いつの間にか閉店時間だったらしい、店じまいの準備をしよう。
フロアの電気をぱちり、落とした。
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作者名：NPC | 作成日時：2020年4月13日 16時
