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「一旦、調べる必要があるね。君、その女の子の出身地とか知らないかい?」
ロレッタは少し考えたが、ガリオンの出身地を聞いた記憶はなかった。だが……ガリオンの出身地を知る手がかりになりそうな事は知っている。
「出身地は知りませんが……葡萄を出しているというのと、星辰草がよく採れるらしいです」
「星辰草、か……確か、特定の状況下でしか発芽しない、珍しい薬草だったはずだ。地域の気候と照らし合わせたら、ある程度絞り込めるかもしれないね」
ふむ、とワタソンは顎に手を当てて何か思案するような仕草をして見せた。その眉間には僅かな皺が寄っている。
そういえば、確か薬草学の方でそんな事を習ったような気がする。希少な薬草に関する座学の授業で、いくつかの薬草を、その特徴と合わせて覚えようとしていたような。確か、三年生くらいの頃に習ったような記憶がある。
「もし良かったらその女の子に聞いてきてくれないかい?直接……だと、ちょっと怖いから、少し遠回りにね。例えば地元の名物だとか風習だとか、そういったのをさり気なくさ」
「はい」
ワタソンの言わんとする事は何となく分かった。彼は、女の子……ガリオンを警戒しているのだ。当然と言えば当然だろう。ワタソンから見れば、ガリオンは奇妙な呪いを知る男の娘なのだ。
ロレッタはワタソンに一礼して、部屋を出る。明日、ガリオンを見舞うついでにそれとなく聞いておこう。何かお菓子でも持っていけば、教えてくれたりするだろうか。
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